2021年の春節(旧正月、今年は2月12日)が近づく中、中国の消費者が買い物をする時、できる範囲で自分を喜ばせたいと考えるようになったこと、特に若い人がこのように考えるようになり、「自分のための消費」が日に日に台頭していることが連日の取材を通してわかった。中国新聞網が伝えた。
こうした傾向は年越し用品の消費でより顕著だ。市場ではサクランボがシーズンを迎えている今、湖南省長沙市の紅星果物卸売市場でも販売がピークを迎えている。同市場で10年以上にわたり果物の卸売を手がけてきた陳敬民さんは、「すでにコンテナ100台分以上を売った。買っている人の多くは若い人だ。自分で食べるほか、贈答品にしたり、恋人へのプレゼントにしたりして、自分にも周りの人にも喜びと癒やしを届けているようだ」と話した。
自分のための消費ニーズと融合したオーダーメイドの年越し用品のギフトセットも人気があり、若い人が春節の贈り物として真っ先に選ぶという。湖南省のECサイト商品開発マネージャーの鄒鵬挙さんは、「今年の年越し用品イベントでは、大手ブランドとコラボしてさまざまなスタイルのオリジナルオーダーギフトを打ち出したほか、若者の間で人気の商品と伝統文化を融合させ、国潮(中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド)の年越し用品ギフトセットを開発した。新世代の人々は衣類や靴、帽子、デジタル家電を自分や家族のために購入することを好む」と述べた。
ECサイトが発表した「2019年中国年越し用品消費報告」によると、価格に代わって品質が年越し用品消費を選ぶ時に最初に考える要因になり、「しっかり食べる」が重視される国民の日常的消費に「自分を喜ばせる体験をより重視する」という高度化の傾向がみられ、消費者は自分自身と個性をより大事にし、ブランドと品質をより強調するようになったという。
長沙でライブコマースの仕事をする90後(1990年代生まれ)の女性の林萌さんは、春節に自分のために生花を買うことにしたほか、春節前にまつげエクステと真っ赤なネイルをするという。「これらは自分が好きなもので、自分を喜ばせることが消費の最大の原動力」と話した。不動産販売マネージャーの周濤昶さんはネットで香水、電気かみそり、マッサージチェアを注文して、家族にプレゼントするといい、「1年間頑張ったので、自分をねぎらいたい。自分がうれしくて周りの人もうれしいという点が最も重要」と話した。
「自分のための経済」が台頭しつつある中、多くの業界が商機を嗅ぎつけている。長沙でブティックを経営する寧芙蓉さんは広州市(広東省)に行って赤いコートを多めに仕入れる予定で、「おめでたいこと、吉兆を表す赤い色の服は春節で人気があるから」と話した。顧客の80%は「自分を喜ばせるために消費する人々」で、年越しやイベント、昇進や昇給といったうれしい時、またはマイナスの感情を解消したい時、決まって寧さんの店に新しい服を買いに来るという。寧さん自身も、「自分も手元に余裕があるときは服や化粧品を買う。買い物するとうれしい気持ちになるから」という。
フラワーショップを経営する曽珍さんは春節用ブーケを準備中だ。「縁起がよく財産と幸運を象徴するキンカン、海棠、幸福を意味する胡蝶蘭などは、必ず店頭に並べる」という。
金融グループの長沙支社で消費者のビッグデータを研究するアナリストの徐■(王へんに路)さんは、「新型コロナウイルス感染症の中で、消費者の生活に対する態度が、刹那主義、今を生きるというものに変わり、会いたい人に会い、食べたいものを食べ、何であれ今したいことを今するようになった。中国人消費者の消費理念は今ではメンツを気にしたり、ブランド品をひけらかしたりするものではなくなり、自分がうれしいと感じるもののためにより多くお金を使いたいと考えるようになった」と指摘した。
長沙市の証券会社の周睿シニア経済アナリストは、「『自分のための消費』の台頭は大衆のための経済、生活水準の向上と密接な関係があり、社会の進歩の現れであり、消費を喚起し、国内需要を牽引することができる。関連当局はこの新しい消費傾向の誘導と育成を強化し、人々の消費と生活を豊かにし続けるべきだ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年1月19日