2020年10月12日、陝西省西安市のショッピングセンターに設けられた専用の売り場で販売されるブラインドボックス(写真著作権は東方ICが所有のため転載禁止)。
「パカッ」という音とともに、西安市(陝西省)のホワイトカラーの馮嘉さんは「盲盒(ブラインドボックス)」を開けた。入っていたおもちゃの人形はほしかった種類ではなかったので、ちょっとがっかりした。机の上には大小様々なおもちゃが何十個も並び、すべて最近の「戦利品」だという。中国新聞網が伝えた。
馮さんは、「でもブラインドボックスってこういうもの。ワクワク、ドキドキした気持ちは蓋を開けた瞬間に消えてなくなるし、期待通りにならないことが多いけれど、このワクワク感はやめられない。新型コロナウイルス感染症の流行中には、集まりなど人との関わりが一時ストップしたので、時々ブラインドボックスを買って開けてみるようになった。頑張っている自分へのご褒美だ」と話した。
ブラインドボックスとは、箱の中にランダムに物が入った商品で、消費者は開けるまで何が入っているかわからない。大陸部の80後(1980年代生まれ)や90後(1990年代生まれ)が熱中したカード集めやカプセルトイ(ガチャガチャ)、最近の口紅やおもちゃ、さらには本や考古学グッズなど、さまざまなジャンルのブラインドボックスがあり、「すべての物はみなブラインドボックスになる」が消費者の注目を集めるキャッチフレーズになっている。
ブラインドボックスの単価は数十元(1元は約16.1円)前後と高くないが、欲しいものを手に入れたり、全種類そろえたりするのは簡単ではない。そこで、中古品プラットフォームで高値で買い求める人も多い。あるショッピングサイトのデータによれば、2019年にはユーザー約20万人の1人あたりブラインドボックス平均購入金額が2万元を超えただけでなく、100万元近く使った人もいたという。
雷暁宇さん(24)は、「ブラインドボックスの世界は海のように深い。そこに入り込むと、もう貯金はできなくなる。今の自分の給料では家や自動車などは買おうと思っても買えない。でも、数十元あれば買えるブラインドボックスは、たくさんの楽しみを与えてくれる」と話した。
社会のリズムが加速するにつれ、多くの人にとって小さなブラインドボックスがもたらす謎めいた感じや達成感が、生活にかかるストレスを緩和する上で一定の効果を上げることになった。このことは購入意欲をかき立てる主な要因でもある。こうした流れの中、ブラインドボックスの販売を手がけるポップマート社は2020年末に香港で上場を果たし、初日の時価総額は1千億香港ドル(1香港ドルは約13.4円)を超えた。
ブラインドボックス市場はますます盛んになっているが、ベテラン愛好者の董飛さんはブラインドボックスから卒業することを考えている。董さんは、「ブラインドボックスを買うとお金と気力がなくなるだけでなく、使わないものや無駄なものが増えていく。自分の家にはこれまで出てきたいろいろな靴やフィギュアが所狭しと置かれていて、全く使い物にならないものが多い。ブラインドボックスをやめた後は、ジムや旅行に行って生活の質を高めたい」と話した。
陝西省社会科学院の専門家の王暁勇氏は、「ブラインドボックスは商品でもありゲーム的な要素の強いものでもある。これまでにない新しいスタイルと運試しの要素が、青少年の新奇性を追う心理にぴたりとはまった。ブラインドボックスを開けるときに得られる喜びは、心理的なストレスを解消してくれる。しかし中身を集めるために無計画に購入したり、借金してまで購入したりすれば、逆に困ったことになる。そのため、関連当局がブラインドボックス企業の販売方式を監督・管理する必要があると同時に、若い人も正しい消費観を確立して、自分の経済力に見合った買い方をすべきだ」と述べた。
「(ブラインドボックスで)欲しい口紅が出るまでやめない。みんな、見ててね」。95後(1995年から1999年生まれ)の王欣蕊さんがSNSにこんな投稿をすると、たちまち議論が起こった。友人から「欲しいのがあるなら、どうしてその口紅を直接買わないの」と聞かれた王さんは「私が買っているのは口紅じゃなくて、自分へのサプライズ」と答えた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年1月12日