数日前の2020世界人工知能大会の開幕式において、多くの人工知能(AI)が「智連家園」というテーマ曲を合唱した。しかしこのテーマ曲を作曲したのもAIであることは、あまり注目されていないかもしれない。中国新聞網が伝えた。
「智連家園」の作曲者であるAI「小氷」は今年6月、上海音楽学院音楽工程学部2020年度「名誉卒業生」の称号を授与されたばかりだ。
◆2分で完全な歌曲を作曲
小氷の「指導」を行った上海音楽学院音楽工程学部の教員である陳世哲氏によると、小氷が単独で「智連家園」のメロディーを作り、曲の効果をさらに高めるために人の手で編曲アレンジを加えたという。「人の手が加わっているが、主な作業はすべてAIが行った」と陳氏。
小氷のチームは「小氷は2020世界人工知能大会のテーマ及び関連資料からインスピレーションを得て、この曲のメロディーを作った」と説明した。
実際には、現在の小氷は、一定の長さの文章や1枚の写真といった刺激を受けると、作曲をするだけでなく、そのスタイルやリズムに合わせて自動的に楽器を選択し、編曲や作詞をすることもできるようになっている。
小氷は現在、2分以内に3分ほどの完全な曲を作ることができる。
◆人間よりも優れているか?
陳氏は「音楽は純粋に芸術的なものと思われがちだが、実際には二つに分けて考えることができる。音楽は芸術であり、情感がこめられるだけでなく、一定のルールもある。特にメロディーの創作と編曲、例えばよく使われる和音の配列構造には一定のルールがある」と説明した。小氷は現在、まさに音楽創作の「ルール」の部分に基づいて「創作」を行っている。
これはつまりAIが人間の「思考」を真似することなく、データにより音楽作品を「創作」できることを意味する。
AIの作曲は現在、完全に人の代わりを果たすことはできないが、多くの人が次のような疑問を抱いている。「AIが高度成長する今日、人の価値はどこに示されるのか?」という疑問だ。
陳氏の答えは「感情」と「革新」だ。「未来の音楽創作において、人間の価値は感情面、あるいはAIが考えたことのないより革新的な分野で示される」と陳氏は言う。
陳氏は一方で、現段階では、AIは「音楽創作のハードルを下げてくれる」技術だと考えている。上海音楽学院音楽工程学部の教員である陳氏、竺茹伊氏らは今年、オンライン授業を4回行った。彼らは小氷と共に浙江省松陽県の学生に作曲方法を伝授した。
陳氏は「数回のリモート授業により現地の子供に基本的なメロディー創作の概念を教えれば、子供たちはいくつかの簡単なメロディーや歌詞を作れるはずだ。しかしこの作品は完全なものではなく、小氷が編曲能力を発揮することになる。小氷はすぐに子供の作品を一つの曲として完成させることができる。この点について言えば、AIは効率向上と、芸術が広まるうえでのハードルを下げる役割を果たした」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年7月16日