人工知能(AI)技術を駆使して修復された映像「100年前の老北京」が中国のネット上で大きな話題となり、11日午後の時点で、「いいね!」60万回以上、コメント3万3000件以上が寄せられている。ネットユーザーたちは、「これはまさに100年前のvlogだ!」との声を上げている。わずか10分間の映像だが、「城門は往来する人であふれ、繁華街もにぎわっており、礼儀正しく挨拶し合う人々、飲食店で食事をしている人、街中で露店を出している人、寺で線香を上げている人、葬儀のシーン」などその情報量は非常に豊富だ。
この動画は、人民日報が4年前に公開した10分12秒の資料映像で、カナダ人カメラマンが1920年から1929年に撮影した。
この映像を今回修復した米国在住の中国人男性・大谷Spitzerさん(ハンドルネーム)がこの「老北京」の映像と出会ったのは偶然の出来事だった。新型コロナウイルス感染拡大が深刻な米国で暮らす大谷さんは、ガールフレンドと一緒に2ヶ月以上にわたって「巣ごもり」生活をおくっており、その間ずっと映像修復技術を勉強していた。そんな大谷さんは、資料を探していた時に、偶然この「老北京」の映像を見つけ、それに出てくる人がレンズに向けたシーンを見て、「タイムスリップしたような気分になった」という。
1991年に北京で生まれた大谷さんの実家は、北京の下町ともいえる虎坊橋にあり、子供の頃はよく前門大街や王府井、中山公園といった北京の中心地に遊びに行っていた。そのため、映像に出てくる馴染みがあるようでありながら、見慣れない昔の北京の様子を見て、テンションが高まったという。しかし、その映像はモノクロで、音声もなく、フレームレートが6‐10fps (毎秒6-10コマ)ととても低いため、人の動きが不自然に早く、一瞬止まる時もあるなど、とてもスムーズな映像とは言えなかった。「ちょうど僕は人工知能技術が得意で、カラー化し、フレームレートを調整し、音声を付けることはできないかと考えた。そのようにして修復を始めた」と大谷さん。
そして「カラーになって、音声も加わると、映像を一層理解しやすくなり、情報量が増える。そして、風土や人情味も加わる」と続けた。