新中国成立70周年

NBA事件の本質は二つの社会が尊重し合えるか否かという問題 (4)

人民網日本語版 2019年10月10日22:09

2、NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏について

1)シルバー氏の認識はダリル・モリー氏と同じで、彼らはいずれも米国メディアと政治家たちの意見を反復しているに過ぎない。彼らは中国人の立場を理解しておらず、香港地区の情勢についても見誤っており、中国人の決意と反応も過小評価している。

2)シルバー氏はNBAを代表し、機関を代表して発言し、彼の発言はすでに個人の発言ではない。そのため彼に対してレベルを上げた対応をすることは道理に適っていると言える。

3)中米摩擦という局面の中で、NBAは米国の政治的な正当性という環境の影響を受けていることは疑うべくもない。彼らはまず第一に米国社会に受け入れられることを考え、米国のイメージを擁護することを考えなければならない。

4)シルバー氏はビジネス機関のリーダーとして、最悪ともいえる弁明コメントを選んだ。それは中国との関係を保つことができなかったばかりでなく、米国の政治環境におけるバランスの取れたポイントを見出すこともできなかった。その行為によってNBAは米国において新たなファン獲得ができないばかりか、それによりNBAの中国市場に損害を与えただけだった。

5)以前述べたように、シルバー氏の言動は表現の自由の擁護とは一切関係のないものだ。これは国や社会を越えた互いに対する尊重という問題だからだ。NBAと中国とはビジネス関係にあり、中国がNBAの商品とサービスを購入している以上、必要と思われる行動をとることは当然の権利だ。これは表現の自由を支持するとか、制限するといったこととは何の関係もないことだ。

3、中国政府と公式メディアの反応

中国が示した反応は極めて強烈だった。多くの人がこの点について激しい議論を戦わせている。ここでは私の個人的な見解を幾つかを紹介しよう。

中国のやり方は実のところ、全世界に向けて中国の政治においてタブーである香港地区及びその主権問題、領土問題については一切認めないということを明らかにしたまでだ。実のところ、中国人にとってのタブーはそれほど多くはなく、主に主権と領土、歴史問題に集中している。外国人は中国でビジネスをしていく上で、中国のこれらのタブーを理解し、尊重するべきだ。実際、NBAを除く中国でビジネスをしているほとんどの企業はいずれもその利害関係をはっきり理解しており、正しい選択をしている。

NBAもその本質はビジネス機関であり、スポーツを通じて利益を獲得し、中国とビジネスをしており、中国人の金で利益を得ている。現在、他の企業が声をあげない中、NBAが突然声をあげている。まさかNBAは米国や全世界のあらゆる企業よりもより「良心」に満ちているというのだろうか?そしてより時局を理解し、より度胸があるということなのだろうか?それは違うだろう。NBAは無知であるにすぎず、無知であるがため、これらの表現の自由や政治的な正当性、国を越えた利益といった概念の線引きをはっきりとは把握していないだけなのだ。

ビジネスの観点から見て、NBAが中国市場を重視しているのならば、中国が根本的な是非に関わるとみなしている問題について敏感に対応し、譲歩し、中国人の捉え方を尊重すべきだ。そしてその主導権はNBA自身にある。

最後に、外交部(省)の対応や中国中央テレビ局(CCTV)の中継取りやめといったようなやり方は単刀直入な制裁方法であるということを指摘しておく必要があるだろう。これらの方法は外国企業や機関に中国のタブーを一定の度合いで知らしめることができるが、彼らに中国にはなぜこうしたタブーがあるのか、そしてその背後にある理論とは何なのかを理解する手助けにはならない。現在の対外的な世論の中で、中国がこれらの問題を米国人に事細かに説明し、米国人の理解と尊重を得ることは極めて難しいと言わざるを得ない。そのため、現時点においてはこうした荒っぽい方法での解決を選択せざるを得なくなっている。

結論として以下の5点をまとめた。

1)我々が言うところの表現の自由及びその限度はいずれも公権力を制限し、社会的弱者を守るためのものであり、社会維持の運営と関係しており、ある一定の政治体制の中でこれらの概念を理解する必要がある。

2)我々は政治的に正当か正当ではないかという点をもっと広い概念でとらえており、異なる国や社会、文化において、その範疇は異なり、また差があると考えている。英国の政治的な正当性(及び正当でないこと)で米国を理解してはならず、米国の政治的な正当性(及び正当でないこと)で中国を理解してはならない。

3)国や社会、文化の枠を超えて、国際交流の範疇に足を踏み入れた場合、その基準も異なり、表現の自由の範疇ではなくなる。A国政府が自国の国民にA国のある事件についての言論を制限することは、A国が自国の国民の表現の自由を制限することであり、A国政府または国民が、B国政府またはその国民によるA国のある事件に対する評価に対して抗議し、相応の報復措置や制裁を加えることは表現の自由の範疇には属さない上、A国とB国の2ヶ国関係(外交関係と国民の関係を含む)の問題であると言える。

4)中国人が主権の統一と領土の完全性を最も根本的な政治と言論タブーとすることに問題はない。これは中国の近現代の歴史と価値観が決定したものだからだ。この方向性には何ら問題はない。それは米テキサス州が銃規制に反対することが大いなる政治的正当性なのと同様だ。

5)中国は米国のタブーを尊重しているように、米国もまた中国のタブーを尊重すべきだ。それぞれのタブーはいずれも歴史が生み出したものであり、互いに理解し、尊重することを心掛けるべきだろう。(編集TG、AK)

「人民網日本語版」2019年10月10日

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