中国50万人の「事実上の孤児」の生活を支援へ

人民網日本語版 2019年07月11日16:42

「この政策は事実上養育者のいない全ての子ども達を対象に実行する必要がある。見捨てられる子どもが一人でもいてはならない」。高暁兵・中国民生副部長(民生次官)は10日の記者発表会でこう語った。民生部(民生省)、公安部(公安省)、財政部(財政省)、中国共産主義青年団中央など12機関が通達した「事実上養育者のいない子どもへの支援を一層強化する取り組みに関する意見」(以下「意見」)は2020年1月1日から実施される。中国青年報が伝えた。

「事実上養育者のいない子ども」とは、両親共に養育・監督保護責任を正常に履行できない「事実上の孤児」を指し、大きく分けて2つのケースがある。第1に、父母共に重度障害者、重病患者、服役または身柄拘束中、薬物依存治療のため強制隔離中、その他人身の自由を制限する措置が取られている、連絡が途絶えている、のいずれかに該当する子ども。第2に、父母の一方が死亡または失踪し、もう一方が重度障害者、重病患者、服役または身柄拘束中、薬物依存治療のため強制隔離中、その他人身の自由を制限する措置が取られている、連絡が途絶えている、のいずれかに該当する子どもだ。

民生部は昨年、一斉調査の結果、現在「事実上の孤児」が全国で約50万人いることを確認した。民生部の郭玉強児童福祉局長によると、内訳は上記第1のケースが約22万人、第2のケースが約28万人だという。

郭氏によると、こうした場合、子どもは通常祖父母が監督保護者となるが、高齢者は健康や体力面の問題で監督保護義務をしっかりと履行できないことがよくあり、他の親戚も子どもを誠心誠意監督保護するのは困難だ。

これまで国は通常、最低生活保障、臨時支援、貧困世帯記録作成やカード発行などの方法で子ども達を支援してきた。郭氏は「こうした政策は実施過程で連携作用が働かず、保障水準は比較的低かった」と指摘する。

「意見」は事実上養育者のいない子どもへの支援を強化する方法として、次の5つを挙げる。

(1)政府が直接サービスを提供し、中国共産主義青年団や婦女連合会など群衆性団体組織の社会動員力という強みを活かし、専門的社会組織や青少年担当ソーシャルワーカーを引き入れ、事実上養育者のいない子どもを心理面でケアし、健康な心と健全な人格を育むべく努める。

(2)民生部は郷・鎮の児童監督指導員や村の児童主任を指導して、対象家庭への訪問を強化し、家庭と子どもに後見指導、復学、戸籍面などのサービスを提供する。同時に、児童福祉機関や未成年者支援保護機関、リハビリ機関、特殊教育サービス機関などの役割を十分に発揮して、対象児童・家庭を支援するほか、必要がある場合、事実上養育者のいない子どもに臨時の後見や世話などのサポートを行う。

(3)法的支援制度の整備を進め、権利を侵害されている事実上養育者のいない子どもに対して、司法当局などが連携して法的支援を一段と強化する。

(4)「意見」は、ストリートチルドレンの救助と保護に力を入れることを強調。事実上養育者のいない子どもは家出や放浪をしやすく、現実にもこうしたケースが多く見られる。「意見」はストリートチルドレンに対し速やかな家族捜しと帰宅への支援を行い、父母その他監督保護者に養育義務を履行するよう教育、指導、督促するとともに、ストリートチルドレンを継続的フォローと支援の対象とし、一度保護したらそれで終了という形にしてはならないと強調している。通常、救助機関が子どもを家に戻した後も、子供を家まで送り届けるか家の人が迎えにくるかを明確にした後、引き続き子どもに注意を払い、各四半期に最低1度は訪問して、再びストリートチルドレン化するのを防ぐ。

(5)養子(里子)縁組の取り組みへの指導を強化する。子どもと家庭の意向を十分に尊重したうえで、情報のマッチングルートを設け、子どもを引き取り養育することを望む家庭との法律に基づく養子(里子)縁組を奨励・支持し、事実上養育者のいない子どもの一部が再び家庭を得る後押しをする。

養育・監督保護責任を履行できるにもかかわらず履行しない父母に対しては、信用度を下げ、懲戒も行う。

高副部長によると、主に次の3つのケースで父母に対する懲戒を行う。第1のケースは、悪意をもち、故意に子どもの養育を放棄した父母。こうした父母は、子どもを養育できる条件を備えているにもかかわらず、養育・監督保護責任を履行していない。第2のケースは、家庭や子どもと長期間連絡を取らない父母。第3のケースは、虚偽報告や隠蔽、偽造などの手段を講じて、支援金・物資・サービスを騙し取る父母及び監督保護者である。(編集NA)

「人民網日本語版」2019年7月11日

  

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