日本の宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が中国で上映され好評を博しており、興行収入は1億7500万元(1元は約15.6円)に達した。配給会社の光線伝媒(エンライトメディア)も再び注目を浴びている。バラエティからスタートし、映画で有名になった光線伝媒は、ここ数年は「国産アニメの半分のシェアを目指す」という目標に向かって事業展開を進めており、王長田会長も、「2019年は国産アニメ映画の大ブレーク期をむかえる」との見方を示した。しかしこれまでに上映された作品の興行収入の実体をみると、同社に名誉や利益をもたらした作品もあるが、複数の作品が期待に届かず、光線伝媒が「中国版ディズニー」になるには、これからさらにある程度の道のりを歩まなければならない。
▽毀誉褒貶入り交じった4年間
今月21日に中国で封切りされた「千と千尋の神隠し」は、3日間連続で単日の興行収入1位に輝き、23日午後5時30分までの累計興行収入は1億7500万元(1元は約15.6円)に達し、現時点で興行収入が最も好調な作品となっている。映画人気の高まりで、配給会社の光線伝媒もあらてめて人々の視界に入ってきた。特に今回は田壮壮、周冬雨、井柏然、彭◆暢(◆は日かんむりに立 )らの豪華な吹き替え陣を配置したことが、アニメ映画に全力で取り組む光線伝媒の姿を十分に伝えている。
光線伝媒はアニメ事業をめぐる野心を隠したことはなく、2015年にアニメ集団の霍爾果斯彩条屋影業有限公司を設立して、アニメ分野に本格的に進出した際に、王会長は「彩条屋影業で国産アニメの半分のシェアを目指す」と豪語した。その後、この分野で事業展開を続け、18年決算で資本についてみてみると、これまでにアニメ産業チェーンの川上から川下の企業20社あまりに投資しており、これには「西遊記之大聖帰来(西遊記 ヒーロー・イズ・バック)」の制作チームの北京深海十月伝媒有限公司(十月文化)や「大魚海棠(紅き大魚の伝説)」を制作した彼岸天文化有限公司も含まれる。
しかし資本の動きは活発ながら、作品の市場での反応は毀誉褒貶が相半ばし、光線伝媒に名誉も利益ももたらした作品もあるが、数多くの作品は期待されたほどの成果を上げていない。興行成績を分析する猫眼専業版によると、15年から現在までの間に、光線伝媒が関わって中国国内の映画館で上映されたアニメ作品は14本あり、これらの作品の累計興行収入は24億6700万元に達するが、個別の成績をみると、1億元を超えた作品は5本で興行収入の35.7%を占め、残りの9作品は1千万元程度、さらには100万元程度にとどまったものもあった。