24時間営業のコンビニエンスストアの店舗数と売上高は地域の夜間消費の状況をよく反映するものであり、夜間消費では残業族が中心層の一つを占めている。「北京商報」が伝えた。
▽「残業族」が夜間消費を牽引する
サラリーマンが残業する機会が増えるのにともない、退社後の消費時間がより遅くなり、深夜に店を開けるレストランや24時間営業のコンビニはより長くより遅くまで利益を出せるようになった。
具体的にみると、コンビニチェーンの便利蜂のデータによれば、「中国のシリコンバレー」と呼ばれる北京市の中関村エリアでは売り上げの多い時間が夜まで続くのが普通になり、午後9時を過ぎても、昼間のピーク時間の20%ほどの来店者がある。また百度(バイドゥ)、華為(ファーウェイ)、滴滴出行、騰訊(テンセント)、網易などの大手企業が集まる西二旗エリアでは、残業する人が非常に多いため、夜間売り上げが記録を更新し、来店者のうち25%が深夜0時まで続くという。
セブンイレブン北京の朱赤兵副社長は、「夜間消費は通常は2つの時間帯に分かれる。前半は大体深夜0時までで、12時から早朝5〜6時までが後半になる。全体として、セブンイレブンの前半の売り上げは実は少なくない。残業で遅くなる人が多く、近くのレストランは閉まっているという時には、コンビニで何か食べるのが選択肢になる。翌日の朝ご飯のために何か買っていくというサラリーマンもいる。こういうわけで深夜0時頃までまずまずの売り上げが続く」と説明した。
▽ニーズ対応にはなお困難も
残業族の夜間消費が新たな成長に寄与してはいるが、ますます拡大する夜間消費ニーズがしっかり満たされていないことは否定できない。取材によると、多くのコンビニは夜になると、特に午後10時を過ぎると、おにぎりやサンドイッチなどの日配品の棚はほとんど空になり、ホットスナックや弁当も早々となくなる。夜10時以降にコンビニに行っても、温かい食べ物はほとんど買えないということを意味している。広告会社で働く李さんの話によると、「残業して遅く家に帰ると、近所のセブンイレブン方荘北店だけが営業しているということがあった。最低限のニーズは満たせたが、昼間にいつも食べているシャケのおにぎりなどは買えなかった」という。
コンビニでは夜に日配品やホットスナックなどがほとんど「品切れ」状態になっている。これは一方では夜にはこうした商品を買う客が少なく、ニーズが元々大きくないことが原因であり、また一方では背後にあるコストの無駄を出来るだけ抑えたい経営側の事情と直接関係がある。北京の現地コンビニで働く人は、「配送車は基本的に夜間と昼間の決まった時間にしか北京市内のコンビニ企業に商品を配送することができない。今は北京市のコンビニ企業でうまく回しているところは一日に2回の配送頻度を達成できていて、夜と午後にそれぞれ1回ずつ配送がある。日配品は商品の消費期限が短く、売れ残れば廃棄するしかなく、店舗側が被る損失は大きくなる。そこで多くの店が注文数を少なくして、たとえ欠品になったとしても、仕入れすぎで発生する廃棄コストを避けたいと考えるようになったのだろう」と話した。
中国人民大学商学院の黄江明副院長は、「人件費、光熱費など各方面のコストが高いため、夜間の売り上げは昼間の売り上げよりかなり少なくなるのが普通だ。一部のコンビニ企業では、損失を減らし、コスト圧力を削減するために、夜に日配品の種類が不足したり、品数が不足したりしたのかもしれないが、商品が少なくなればなるほど商売も小さくなるという。棚が空になっていれば確かに短期的な廃棄や無駄はなくなるが、これが長く続くとコンビニ夜間消費の魅力が弱まることは確実だ。棚がガラガラになる状況を減らすだけでなく、コンビニ企業は消費ニーズによりよく対応するためにやるべきことがまだたくさんある。たとえば北京、上海、広州など各地の消費習慣や嗜好には大きな違いがある。北京のコンビニならニーズをくみ取って現地の消費者の好みにより合ったファストフードを開発するほか、自社ブランドや店舗内調理など消費頻度が高く、粗利益率も高いフードサービスの比重を高めることを検討すべきだ」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年5月9日