デリバリーを頼むのは多くの人にとって今や日常の一コマとなっている。しかし一部のオフィスビルや学校などでは、配達員が中に入って届け先まで行くことができず、注文した人が下まで取りに行かなければならない。エレベーターが混んでいることもあれば、忙しい時もあり、面倒くさがる時もある。配達員はイライラしながら待たなければならない一方で、注文者もつらい思いをするかもしれない。最近、上海の一部地域のオフィスビルの入り口で配達サポーターが何人か待機するようになった。デリバリーの配達員から1〜2元(1元は約16.6円)を受け取ったサポーターは、注文した人のところまでで商品を届ける。こうしてデリバリー商品を届け先まで運ぶ仕事が成立した。「銭江晩報」が伝えた。
デリバリー配達員が1回の配達で稼ぐのは6元で、そこから2元をごそっともっていかれるのは大きいが、配達件数が増えればなんとかなるので、配達サポーターを利用しても割に合う。
注目されるのは、事実として、こうした足を使うサービスが浙江省杭州市の大学で徐々に現れてきたことだ。
「ケンタッキーを買ってきて」、「16号ビルに来た宅配便を受け取ってS棟まで持ってきて」。毎日夜になると、浙江伝媒学院の学生300人あまりが参加するデリバリー・宅配便代理受け取りグループはこんなメッセージが飛び交って賑やかになる。グループ代表を務める同学院1年生の孫さんは、「このグループは発足したばかり。学生は誰かに自分の代わりに宅配便やデリバリーを受け取ってもらいたい時、グループに向けて依頼のメッセージを発信する。メッセージを見て都合がつく人がいれば、発信者に代わって宅配便やデリバリーを受け取る。費用を徴収することもできる。費用の標準は最初は個々人が決めていたが、その後、価格つり上げを防止するため、グループで統一の基準を設け、市場価格を規範化した。また価格表も作り、寮の建物までの距離に応じて合理的かつ明確に価格を設定した。こんなにすぐにたくさんのサポーターが集まり、現在のような規模に発展するとは予想外だった」と話す。
価格表を見せてもらうと、宅配便の代理受け取りサービスは3元からで、最高は15元。一番価格の高いサービスは喜茶を買ってくることで20元がかかり、チーズストロベリーティー1杯を頼むと、商品価格の32元のほかにサービス価格の20元が加わって52元になる。52元はスターバックスの飲み物が2杯買える金額だ。
孫さんは、「杭州下沙大学城には、数年前から似たような代理受け取りサービスがあった。デリバリー・宅配便の代理受け取りをするグループはうちだけではない」と話す。需要はどれくらいあるのか。孫さんの場合、所属する337人のグループは今は閑散期で、1日に1〜2件ほどしか依頼はない。しかし昨年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)には、2日間で200元の稼ぎがあり、一日あたり平均100元になったという。
▽デリバリーの配達に商機
学生を含め、人々がお金を払って誰かに受け取りを頼むのはなぜか。どうして自分で受け取りに行かないのか。学生の1人は、「寮の建物に戻ってから、また遠くまで歩いていって宅配便やデリバリーを受け取るのは時間の無駄だ。そんなことをする必要はない」と話す。
物流の専門家は、「これは新しいライフスタイルがもたらした一種の新モデルで、業界はこれを支持するという開放的な態度を取っている」と述べた。専門家の予測によると、宅配ロッカー、デリバリーロッカー、冷蔵ロッカー、届け先まで運ぶサービスなどさまざまな形態のサービスを網羅したシェアリング協力センターが、今年下半期に相次いで打ち出され、来年には全国で大規模に推進されていくかもしれない」という。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年4月12日