中国と英国が共同で制作したアニメ「ペッパピッグ」の中国語劇場版「小猪佩奇過大年」が、春節(旧正月、今年は2月5日)に合わせて封切られるが、最近、その宣伝動画「ペッパピッグって何?」が公開され、一夜にして大きな話題を集めている。
この動画が話題となっているのは、実は決して意外なことではない。なぜなら誰にとっても、家族は自分の心の拠り所で、一番大切なのが家族との絆だからだ。年の瀬になると、家族のあふれる愛情を描いた文芸作品が作られるが、映像や文字に関わらず、心の琴線に触れやすく、話題を集めやすい。
特にとびぬけて可愛いということもない平凡なピンクのブタが主役のペッパピッグ自体、家族愛のシンボルと言える。両親とペッパピッグ、そして弟の4人家族が、シンプルながら楽しく生活するという英国発のこのアニメは、「妻と子供がいて、一家団欒」という、中国の人々の素朴な理想とマッチしているほか、子供たちが幼少期に家庭や生活の中で経験することや親との関係などもリアルに描いている。それらは人間の最も基本的な感情であり、世界共通の言葉と言ってもいいだろう。それが、ペッパピッグが世界中で大人気となっている理由だ。
もちろん、文化的環境が異なれば、家族に対する思いの表現の仕方も異なる。家族に対する思いを描くストーリーを作成する際は、世界の人々に共通する感情をベースにして、ローカライズした独特の表現方法でそれを描かなければならない。筆者は以前、米国人の友人に「親にハグをしたことは一度もなく、親に『愛してる』と言ったことも一度もない」と話したことがある。その時、その友人は目を丸くし、「信じられない」という顔をしていた。その友人にとっては、家族とハグしたり、家族に「愛してる」と言うことは、ごく普通のことだったからだ。
では、「愛してる」という言葉を使わなければ、親や子供に対する思いを伝えることはできないのだろうか?もちろんそうではない。動画「ペッパピッグって何?」では、親と子供がハグをすることもなければ、親や子供に対する思いを言葉で直接表現することもない。しかし、その行動で示される親の子供に対する思いは、山よりも重く、海よりも深く、酒よりも濃い。田舎の村で息子家族の里帰りを待つ老人が、スクラップにペンキを塗って手作りした金属製のペッパピッグには、息子や孫に対する非常に深い思いが込められている。筆者にも似たような経験がある。筆者が就職したばかりのころ、兄が食器棚を作ってくれた。鉄を溶接して枠を作り、天板と底板は木製、四方の側板はガラスだった。前方のガラスの角は、手を怪我しないようにと、丸く加工し、取手をボンドでつけて開け閉めしやすいようにしてくれていた。小さく、粗末で、おしゃれとは程遠い食器棚であった上、家具店で売っている棚と比べると大分見劣りするものの、筆者にとっては何よりも大切な宝物だ。
「慈母手中の線、遊子身上の衣(慈しみ深い母の手には、旅立つ我が子の着物を縫うための糸がある)」と唐詩に謡われているように、昔から親の子供に対する思いなどを表現した詩が数え切れないほど詠まれてきた。その思いは、中華民族の文化の遺伝子に刻まれた感情であり、中国の人々にとって一番大切で、心が最も優しくなれる部分だ。それをベースに、幸せな家庭像、道徳観念、感情の傾向が構築され、日常生活や家庭生活を築き上げている。
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