こうした感情は失われることなく、今も多くの人の心に残っている。「ペッパピッグって何?」では、山村に住む農民の老人が、都市に住むアニメ好きな孫と、ペッパピッグを通して心を通わせている。そのような素朴にもかかわらず、非常に強い家族に対する思いは、三世代にわたって受け継がれている。この動画が公開されると、人々の心の底に眠っていた記憶や感情を呼び起こし、多くの人が目頭を熱くした。価値や文化、感情の洗礼を体験できるというのは、まさにアート作品の力と価値の現れと言えるだろう。
もちろん、わずか6分弱のこの映画の宣伝動画に、人々の実際の生活における思いなど全てを込めることはできない。しかし、「ペッパピッグって何?」が話題を集めたころは、「現実の生活に目を向けて作品を作ることはできないか?」や「リアルな物語を探し出して、それを描き、生活の中で感じる非常に身近な感情を表現することはできないか?」と創作者たちに問いかけているかのようだ。「農村と都市」、「親と子」、「伝統と現代」といのは、中国人にとって永遠のテーマだが、多くの人が帰省する1年に1度の春節の時期にしか、話題になることはない。永遠のテーマに込められている深い意義は、「ペッパピッグって何?」や毎年春節の時期になると必ずと言っていいほど目にする「帰省」をテーマにした「大人気の書き込み」の意義に比べると、ずっと複雑で、深みや重み、力がある。田舎で息子一家の帰りを待つ老人のピュアな家族に対する思いの背後には、実は非常に切ない物語がたくさん隠されている。親子の感情というものは、それほど簡単に語れるものではないという場合がほとんどだろう。そして、春節もまた多くの人にとっては、決して「一家団欒を楽しめる時」というような簡単なものでもないだろう。団年飯(大晦日の夜に家族で食べるご馳走)には、喜びや楽しみもある一方で、悲しみや苦しみもあり、さまざまな人生や生活が凝縮されている。
こうした重要な命題がより深みがあり、より力のある芸術作品の誕生を呼び掛けている。人々はこうした作品に触れると、心が揺さぶられ、温かい気持ちにもなり、さらに、どんな試練にも耐えられる精神的力を得ることができる。近年は、「カンフーパンダ」が大ヒットし、「花木蘭(ムーラン)」を題材にした作品がたくさん海外で制作されている。このように、中国人にとってなじみ深い文化や物語が海外で人気になっている。現在、「ペッパピッグって何?」が一夜にして大きな話題を集め、中国の人々の心の拠り所が再びはっきりと示された形となった。それこそが、文芸作品の歩むべき道、方向性なのかもしれない。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年1月22日
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