日本は26日、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、来年7月から日本の領海内と排他的経済水域(EEZ)内での商業捕鯨を再開すると発表した。日本が商業捕鯨を行うのは約30年ぶりで、反捕鯨国や国際機関からの批判を招いている。新華社が伝えた。
▽「もう一緒にやっていけない」
日本の菅義偉内閣官房長官は同日の記者会見で脱退を決定したことを明らかにし、年内にIWCに通知すると述べた。これはつまり、日本が来年6月30日にIWCを正式に脱退するということを意味している。
日本は、IWCは保護と利用という「2つの職責」を担うべきであると主張し、ミンククジラなどの種類は「相対的に豊富」であるとして、委員会に商業捕鯨を認めるよう働きかけてきたが、欧州連合(EU)、米国、オーストラリアなどに反対されてきた。
IWCは9月にブラジルで開催した総会で投票を行い、日本が主張する商業捕鯨の再開、IWCの方針決定ルール改革の提案を否決した。その後、日本は捕鯨について加盟国間に「深刻な隔たり」があるとして、たびたび脱退をちらつかせてきた。
菅官房長官は、「日本にはクジラの肉を食べる伝統がある」と述べた。フランス通信社(AFP)は、「クジラの肉は日本国民にとって1950〜60年代は主要な動物性タンパク質だったが、最近では献立からほぼ消滅しており、消費量も大幅に減少した。日本の安倍晋三首相が所属する自民党などの保守政党のメンバーは商業捕鯨を支持し、『伝統の保護』を理由に国際政治の場で強硬な態度を取っており、これは一部の保守的な有権者に迎合するのが目的だ」と伝えた。
▽脱退しても制限あり
菅官房長官は、「日本はIWC脱退後、領海内とEEZ内に限って商業捕鯨を行う。南極海域や南半球のその他の海域では今後は捕鯨は行わない」と述べた。
日本はIWC脱退により、これからは「科学調査」の名目での南極における捕鯨活動は行えなくなるが、日本の領海内にいるクジラには「手を出す」権利がある。
IWCは48年に「国際捕鯨取締条約」に基づいて設立され、海洋ほ乳類であるクジラを保護し、捕獲を規範化してきた。日本は51年に加盟し、86年には同年に可決された「1986年からの商業捕鯨のモラトリアム」に従って商業捕鯨を停止した。
日本は翌年、同条約の抜け穴を利用して、科学調査の名目で南極大陸周辺の海域で捕鯨を行い、捕獲したクジラの肉は日本水産市場に姿を現した。国際海洋生物保護団体は、「日本は科学調査に名を借りて、実際には商業行為をしているのであり、毎年100頭以上のクジラを捕獲している」と批判してきた。
国際連合国際司法裁判所は2014年、日本の科学研究機関が南大洋で行う捕鯨は同条約に違反するものとして、捕鯨の停止を命じた。だが日本は翌年に「科学調査捕鯨」を再開した。
▽多方面から批判
日本は「海洋法に関する国際連合条約」の締結国だ。共同通信社の報道によれば、第二次世界大戦の終結後、日本が国際機関を脱退した例はほとんどなく、非常にまれな行動で、反捕鯨国・国際機関の批判はおそらく免れないという。
オーストラリア政府は日本の脱退と商業捕鯨再開について、「極めて失望している」とコメントした。同国の外務省と環境省が同日に出した共同声明では、「日本の脱退の決定は非常に残念である」としつつ、「来年夏から南極大陸の海域でIWCが保護するクジラ類に手を出さなくなることを歓迎する」ともしている。
菅官房長官は、「日本はIWCを脱退してもオブザーバーとして参加する。クジラの捕獲数量はIWCの規定を超えることはない」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年12月27日
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