旅客機のキャビン内は閉鎖空間となっており、病気の感染が拡大しやすい。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)も旅客機から世界各地に感染が広がったとされている。米国エモリー大学とジョージア工科大学が合同で発表した研究報告では、旅客機に搭乗する病人1人あたり、平均0.7人に病気をうつしており、窓側の座席に座っている乗客は比較的安全だということが明らかとなった。香港の「文匯報」が報じた。
前後2列の感染率は8割高い
研究者はインフルエンザが流行する時期に、米国アトランタと西海岸間を結ぶ10便の旅客機に搭乗し、乗客と客室乗務員の行動パターンを観察した。その後、数式により、病人が旅客機のキャビン内で病気をうつす確率を計算した。同研究結果はこのほど、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。
科学者は病人が旅客機中央の廊下側の位置に座っていると仮定したところ、150人の乗員乗客のうち、平均たった0.7人しか感染しないという結果となった。ところが、病人の前後や両側など、至近距離に座る乗客は感染率が他の乗客よりも80%高いことが明らかになった。また、窓側座席に座る乗客は席を立つ回数が少ないため、ウイルスと接触する確率が比較的低い。
病人が客室乗務員の場合は平均4.6人に感染、搭乗は控えるべき
さらに研究結果では、呼吸器ウイルスは通常飛沫感染によるものが多く、テーブルやシートベルトに残留していることは極めて少ない。通常は手洗いや消毒により、感染のリスクを抑えることができる。
もし、客室乗務員が感染していた場合、平均4.6人の乗客にうつす可能性があるため、研究者は、「病気の客室乗務員はフライトを控えるべき。また、当局は感染病患者の前後左右の乗客を観察し、さらなる感染を防止するべき」としている。
しかし、研究の規模が小さく、サンプルが少ないため、断定はできないとする研究者もいる。(編集TK)
「人民網日本語版」2018年3月23日
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