中国で昔からの小売店舗が続々と閉店したり、モデル転換を遂げたりしている中、米国2位のスーパーマーケット・コストコが流れに逆らうように、このほど大陸部市場に進出するとともに、上海市にオフラインの第1号店をオープンすることを明らかにした。
▽超低粗利益モデルに注目
2017年9月初め、コストコはインターネットショッピングモールの天猫(Tmall)を通じて中国オンライン事業を強化した。既存のコストコ天猫海外旗艦店を基礎に、コストコの公式オンライン旗艦店を開設した。天猫の関係者の話では、コストコ天猫海外旗艦店は越境ECモデルによる運営方式、公式オンライン旗艦店は一般貿易モデルによる運営方式をそれぞれ採用し、現在の両店の所有権はいずれもコストコ米国本社に帰属し、実際の運営執行者はコストコのアジア太平洋エリア部門になるという。
コストコはこのたび、上海に大陸部初の実店舗をオープンすることを明らかにし、各方面の注目を集めている。コストコは会員制システムに基づく収益モデルを採用し、利益は極めて厳格にコントロールされている。通常の粗利益率は平均10%以下で、14%を超える場合は最高経営責任者(CEO)の許可が必要だ。同じく米スーパー大手のウォルマートの場合、粗利益率は40~60%が一般的だ。歯ブラシを例に挙げると、仕入れ価格が10元(1元は約16.9円)なら、コストコは11元で販売し、ウォルマートならばおそらく30元前後で販売するとしている。
だがコストコ天猫海外旗艦店をのぞくと、米オーシャンスプレーブランドのドライクランベリー(340グラム入り)はコストコでは37.5元で売られているが、オーシャンスプレーの天猫海外旗艦店では29元だ。クリアブランドのシャンプー(750ミリリットル)はコストコでは74.5元だが、同じく通販サイトの蘇寧易購では69.9元になる。中国ECプラットフォームの影響の中、コストコの低利益モデルが成功するかどうかはしばらく様子を見る必要がある。
現時点でコストコの価格的優位はそれほど明確ではないが、将来は実店舗が低利益モデルを武器にECプラットフォームとの競争を繰り広げる可能性がある。低利益の状況にあるコストコは会員制システムを採用して利益獲得をはかる。だが実際にはコストコの会員制システムは利益獲得というより顧客を誘致するためのもので、低価格モデルで消費者を会員システムに呼び込むのが狙いだ。米国でコストコのサービスを受けようと思えば、まず60ドル(1ドルは約111.6円)か120ドルの年会費を支払って会員になる必要がある。
だがアナリストによると、コストコは中国の国情に合わせて適宜調整を行う見込みだ。会員制システムはコストコの成功のシンボルで、基本モデルは大きく変えないとみられるが、中国市場の特殊性を考慮して微調整を行う可能性があるという。
北京財貿職業学院の王成栄院長は、「コストコは収益モデルの調整を迫られるほか、将来はウォルマートをはじめとする各スーパーの圧力を受けることになる。ウォルマートは中国市場に進出して21年になり、供給チェーンでも販売戦略でも相対的に成熟しており、こうした環境の中でコストコは一連の課題に直面することになる。だが中国の小売産業は目下、変革のプロセスを遂げているところで、未来に主導的地位を占めるのが誰かはまだわからない。北京や上海のような大都市では、消費者はコストコの会員制システムを受け入れることができるだろう。このシステムはハイクラス消費を望む一部の消費者マインドを満足させるものにもなる」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年9月26日
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