欧米志向が強かった中国人学生の間で、留学先に日本やシンガポール、タイを代表とするアジア諸国を選択するケースも年々増えてきている。なぜアジア諸国が注目されるようになったのだろうか。
▽マイナー言語の人材ニーズ高まる
ここ数年、インドやタイなどアジア諸国の国際的地位が高まりをみせている。タイはすでに中国人観光客の間で人気の観光地。観光業の繁栄は貿易経済の発展を促すことは間違いない。またタイや日本、韓国など商品の代理購入チェーンの広がりも電子商取引の発展を促している。そのため、留学生は貿易分野で言語の優位性を生かすことが可能になっている。
中国の大学で日本語を専攻している何さんは日本の大学院への進学を決めており、日本語能力を一層高めたいと考えている。マイナー言語を専攻する理由について、何さんは、「今の中国の人材ニーズと発展のトレンドと密接に関わりがあるから」としている。
シンガポール国立大学で勉強している林さんは「中国はマイナー言語の国との経済協力がますます密接になっている。例として、タイの鉄道建設協力、スリランカやミャンマーの港湾建設協力、シンガポール-マレーシア高速鉄道建設、ジャカルタ-バンドン高速鉄道建設などのプロジェクトは現地の労働者だけでなく、現地の言語と環境に馴れた人材が交流のかけ橋となる必要がある」と話す。
中国が提唱する「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブが推進し続けられていることで、国際協力が強化されており、中国の駐外国大使館や機構などにおけるマイナー言語人材へのニーズが高まりつつあるのと同時に、外国に進出する中国企業からのマイナー言語人材への注目度も高まりつつある。
▽留学コスト費用が低く、文化的差異も少ないというメリット
留学先は遠ければ遠いほど良いとは限らない。近年、一部のアジア諸国は自国の強みを生かして中国人留学生を惹き付けようとしている。欧米の名門学校は先進的な教育モデルと理念を兼ね備えているが、巨額の費用を必要とし、また文化的差異の大きさから、行きたいという気持ちがあっても諦めるという中国人学生も少なくない。彼らにとって留学にかかる費用は留学先を選ぶ際に、まず最初に考慮すべき要素となっている。
劉さんは実家の経済状況を考慮した結果、費用が比較的安いマレーシアを選択した。アジアでの留学のメリットについて、劉さんは、「マレーシアの母国語はマレー語だが、すべての授業は英語で行われている。英語を使うチャンスが非常に多いし、異国情緒に触れることもできる」と話す。
タイの大学で勉強している王さんは、西洋に比べ、アジア諸国の大学の多くがその申請条件がやや低いことに気付いたといい、「タイは仏教文化が普及しており、中国との文化的差異が西洋ほど顕著ではないので、中国人留学生は現地の文化圏に比較的溶け込みやすいようだ」としている。
▽文化の使者として 中国のイメージをアピール
発展途上国が大半を占めるアジア諸国は、全体的な科学技術と教育レベルにおいて欧米の先進国より劣っている。しかし、中国及び周辺国を中心とするアジア諸国の発展の勢いは極めて力強い。例えば、シンガポールは中国と教育の協力関係を結び、中国人留学生を一層惹き付けるために、全額の奨学金など優遇政策を打ち出すなど、人材育成を重要視していることがみてとれる。
中国側も教育プラットフォームを前向きに構築し、国内の研究機関や大学が東南アジア国と共同で学校を創設している。中国人学生たちがこれらのルートで外国に行くことは、文化の交流と協力に有利なだけでなく、その国の人々が留学生を通して中国を理解することも期待できる。(編集HQ)
「人民網日本語版」2017年9月13日
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