世界初となる全窒素陰イオンナトリウム「N5-」が中国で合成された。これは中国が次世代高エネルギー有機機能材料の研究で、世界のトップに立ったことを意味する。南京理工大学の胡炳成教授が率いるチームが同研究を実施。関連論文はこのほど、世界的に有名なサイエンス誌に掲載された。中国が同誌の有機機能材料分野で論文を掲載するのは今回が初めてとなる。光明日報が伝えた。
科学者が1772年に大気中からの窒素分離を実現させてから、全窒素イオンのN3-が見つかったのは1890年となる。関連研究ではその後、大きな進展がなかった。科学者はN3からN13までの全窒素派生物の多くの理論的予測を行ったが、関連する化合物の合成には成功していなかった。
米空軍研究所は1999年に初めて線状のN5+を合成した。当時は有毒なヒドラジン系燃料に代わる、新型ロケット燃料の生産をその研究目的としていた。胡氏のチームはN5-の合成に成功し、同分野の画期的な成果を手にした。全窒素物質のエネルギー水準は理論上、104−105ジュール/グラム級に達する。これはTNT火薬の10−100倍に相当する。
N5-の合成は、全窒素陰イオン高エネルギー化合物の生産の基礎を固め、さらに中国の軍事力の強化を促す。胡氏は「新型超高エネルギー有機機能材料は、国家の軍事力と軍事技術の向上を象徴する。全窒素陰イオンの合成は、全窒素有機機能材料の発展に対して、重要な科学的意義を持つ」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年2月3日
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