当然のことながら、TPPがもたらすとみられる経済的メリットは軽視できない。「日本経済新聞」が14日伝えたところによると、安倍政権にとってTPPは成長戦略の柱だ。発効できなければ、「アベノミクス」の土台が崩壊することになる。そこで少しでも可能性があるなら、これを手放さないように努力するしかない。日本紙「朝日新聞」が伝えた日本銀行の黒田東彦総裁の話では、「TPPは一里塚の意味合いのある協定であり、調印にこぎ着ければ、きわめて大きなメリットを日本経済にもたらす。反対に、議会を通過しなければ、この協定がもたらす巨大な利益が実現不可能になる」という。
現在、日本経済は楽観を許さない状況だ。共同通信社の行った最新の世論調査では、回答者の58%が「日本経済は衰退不振の状態にある」と答え、昨年6月に同じ質問をした時より15ポイント増加した。日本の専門家は、「安倍政権がTPPを重視するのは、日本の経済産業がTPPによる再生を必要としているからだ。日本の基幹産業の多くは長年にわたる発展の後、今はボトルネックの段階に入っており、日本だけでこれまでのモデルが抱える問題や構造的な矛盾を解決することは難しい」と指摘する。
▽日米関係はどのように発展するか
安倍政権の外交政策は強固な日米同盟を基盤としていた。日米同盟は日本の「防衛の生命線」とみなされていた。だがトランプ氏の当選により安倍政権に動揺が広がった。分析によって指摘されるのは、日米関係が米国の指導者の交代によって揺らぐなら、安倍政権が行ってきた外交努力は無駄になる可能性があるということだ。日本メディアは、トランプ氏はこれまで日米同盟を根本から揺るがすような一連の発言をしている。米国紙「ワシントン・ポスト」が伝えるように、オバマ政権の「アジア太平洋リバランス戦略」の柱の1つがTPPであり、TPPはトランプ氏当選後の最初の「犠牲者」になる可能性が高い。
日本紙「読売新聞」の報道によると、トランプ氏の当選後の12日と13日に同紙が行った世論調査では、今後の日米関係について「不安が期待より大きい」とした人が58%に上ったという。
周教授は、「トランプ氏の当選は日米関係に必ずマイナス影響を与える。だが安倍政権は見込み違いによる影響を補う努力を始めている」と話す。
「日本経済新聞」によれば、安倍首相は17日にトランプ氏と会談する予定だ。大統領就任前に会談するのは異例のことで、ここからできるだけ早く会談によって個人的な信頼関係を構築し、これまで手薄だったトランプ氏側との人脈づくりを急ごうとする意図がうかがえる。安倍首相はトランプ氏に日本の立場を率直に伝え、日米同盟を強化したい考えだという。
これから日米関係がどのように発展していくのか。安倍政権の外交政策にはどのような変化があるのか。しばらく様子を見守る必要がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年11月18日
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