不動産価格はバブル経済崩壊後、大幅に値下がりした。東京で働く40代の雑誌副編集長は職場の近くでマンションを買った。毎月のローン返済の圧力は小さくなく、都心部にあるため、価格は年収の約7倍だ。だがこの数字を今の北京や上海の人が聞いたら、うらやましく思うことは間違いない。
経済が低迷する今、特に不動産バブルが崩壊した後の今、住宅は中産階級の仲間入りするためのハードルではなくなった。大勢の中産階級が住宅ローンの負担の重さに耐えかねて中産階級から脱落してきたが、若い人には中産階級の仲間入りするチャンスがより多く与えられるようになった。そうしたわけで日本の中産階級はここ数年、著しく減少したということはない。
こんなデータがある。日本の内閣府が1958年に行った第1回国民生活に関する世論調査では、生活水準についての質問で「上流階級」と答えた人は0.2%、「下層階級」と答えた人は17.0%だった。約60年前に、日本社会では自分を中産階級とみなす人が80%以上いたということになる。当時の日本は決して豊かではなく、中産階級といっても今日の視点でみれば「ニセ中産階級」ではあるが。
14年に内閣府が発表した最新の調査結果では、自分が「下層下級」であると答えた人、また「わからない」と答えた人は5.6%で、「上流階級」とした人は1.2%だった。失われた20年余りの間にも、日本社会では中産階級の規模が縮小しなかったことがわかる。
その原因を考えると、表面的には、レートの大幅な上昇を受けて、日本人は比較的低価格で世界各国から提供された物質文化を享受することが可能であり、日本国内の生産力は大幅に低下しなかった。こうして商品の絶対的な豊富さとより安い価格を享受することができたということがある。社会の深層レベルを考えると、企業が採用する終身雇用制度、社会から与えられる各種の社会保障により、中産階級が現在の社会的地位から下層階級に低下することはなかなかあり得ない。また多くの若者が仕事がなかったり、家が買えなかったりして、中産階級に仲間入りできないという状況は考えにくいということがある。
若い人々が順調に、ごく自然に中産階級になる道が保証されれば、経済が少しくらい低迷しても、実際には大きな問題にならないのだといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年10月11日
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