日本政府が消費税率の引き上げを見送ると発表してから、大分時間が経った。だが現在の情況をみると、増税延期は日本経済に何のプラス効果ももたらさなかったばかりでなく、日本の財政状況をより厳しい試練に直面させている。
日本は2014年にも消費税率引き上げを見送り、その際、「リーマン・ショックまたは東日本大震災級の事態が起こらない限り、(2017年4月には)税率を予定通り引き上げる」としていた。だが今年6月1日には、「経済を優先させる」ことや世界経済が巨大なリスクに直面することを理由に、再び増税延期を決めた。そして安倍政権は見送りの「報い」を受けることになる。
第1に、増税延期は日本の社会保障改革の計画を大幅に狂わせることになる。14年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられると、8兆円の税収増になり、社会保障の情況を改善する重要な財源になった。次に予定される2%の引き上げにより4兆元の税収増が見込まれ、政府はかねてより使途を検討し、これまで国債を発行することで持ちこたえてきた社会保障の穴を埋めるために3兆元を充てるほか、残りを低年金者対策、年金システムのカバー率拡大、介護保険への財政補填などに充てようとしていた。だが増税延期で計画は変更を余儀なくされた。
第2に、実施中の経済改革も増税延期により打撃を受けることになる。これまでに行われてきた経済改革は部分的な成功は収めており、失業率が3.2%に下がって、ほぼ完全雇用の水準に達したこと、企業の経常利益といった経営指標がしばしば記録を更新し、15年末には上場企業全体の資産額が840兆円を超えたことなどが上げられる。だが国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費は不振が続いている。増税は消費の伸びを阻害するのだろうか。相対的にいって、欧州各国は消費税率が軒並み日本より高い上、日本が1989年に初めて消費税を導入した時、90年代の経済成長を阻むことはなかった。日本の消費の長期低迷の主要因は、人口高齢化と若い世代の消費意欲の低下だと考えられる。技術革新、財政再建、社会保障システムの改善が行われて初めて消費を振興させることができるのであり、こうした分野での改革こそ「アベノミクス」の弱点だ。
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