中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、2015年末現在の外貨準備残高が3兆3300億ドル(1ドルは約17.9円)で、前年末比5126億6千万ドル減少したことを明らかにした。国家外貨管理局の報道官は、「外貨準備規模の変動に影響した要因は多々あり、今後は外貨準備規模が上下に変動することが新常態になる可能性がある」と述べた。人民網が伝えた。
同局国際収支司の王春英司長は、「2015年に外貨準備規模の変動に影響した要因には、人民銀の外国為替市場における操作もあれば、外貨準備を投資した資産の価格変動、レートの変動、海外進出における資金運用に対する外貨準備での支援などがある」として、具体的に次の4点が挙げた。
(1)レートや価格といった取引価格以外の要因の変動が外貨準備の帳簿上の価格を千億ドル以上減少させた。実際に外貨が外貨準備から流出したわけではない。
国際収支統計(BOP)をみると、15年第1~3四半期(1~9月)には、外為市場の需要と供給および売買により形成された外貨準備資産が累計2272億ドル減少し、帳簿上の外貨準備残高は3289億ドルの減少だった。レートの換算といった取引価格以外の要因により減少した外貨準備は1017億ドルだったということだ。
外貨準備は米ドル建てのため、ドル以外の通貨の対ドルレートの変動により外貨準備の規模も変化する。たとえば15年にはドル指数が9%上昇したため、外貨準備の中のユーロなどドル以外の資産をドルに換算すると、ドル建ての残高は減少する。
(2)中国企業などの取引主体が国内における人民元・外貨建て資産の負債構造を改善させ、外貨預金を増やし、外貨建て貸出を償還した。15年の中国企業の外貨預金は249億ドル、個人は184億ドルで、国内の銀行は長期的に資産価値を保存したいという企業の需要に応えるため外貨保有額を1024億ドル増やした。これと同時に、企業が借り入れた国内での外貨建て貸出の残高が1006億ドル減少した。