製造業が次第に高度化、自動化していく現代、どこの国でも伝統手工芸をどのようにして保護していくかという問題に直面している。その中で、独特の職人文化を持つ日本の伝統手工芸保護の経験は参考にする価値がある。人民網が伝えた。
日本の東北地方、岩手県の盛岡市には「盛岡手づくり村」という手工芸観光施設がある。この施設は近隣の市町村、商工会、企業等が共同で立ち上げた施設で、主に盛岡地域の伝統産業の発展と観光振興を目的としている。この施設は政府と民間が共同で立ち上げた総合施設で、関わっている部門や団体が多く、日本でも非常に珍しいタイプの施設となっている。
盛岡手づくり村は主に盛岡地域地場産業振興センターゾーン、工房ゾーンと曲り家ゾーンという3つのゾーンから構成されている。盛岡地域地場産業振興センターゾーンは主に地場産業の情報提供、人材の育成養成、新商品の開発を行っており、約4000種余りの各地場産業会の商品を販売している。
工房ゾーンは盛岡手づくり村のメインとなるゾーンで、現在は15軒の工房があり、一流の職人たちが集まっている。これらの工房では中国観光客にも人気の高い南部鉄器をはじめとし、染物工房、盛岡名物の食品工房や工芸品の工房がある。工房は制作と販売を同時に行っており、一部の工房ではものづくり体験が可能で、観光客自ら手工芸を楽しむことができる。
これらの工房の職人たちはもともと地域内に点在していたが、規模が小さいため、騒音や煙、汚水などの公害問題をみな抱えており、観光客をひきつけることも難しく、工房の経営も困難を極め、伝統工芸の伝承という問題にも直面していた。これらの問題を解決するため、自治体や民間が力を合わせて盛岡手づくり村を立ち上げ、点在していた工房を1ヵ所にまとめ、問題を解決した。
また若者たちも伝統工芸に関わり始めている。盛岡手づくり村にある「染屋たきうら」の藍染工房では数人の若い女性が藍染の仕事をしている。彼女たちは藍染工房の家族や後継者ではなく、以前この工房を見学して、藍染を好きになったという。
この他に、盛岡手づくり村には曲り家ゾーンが設けられており、このゾーンには盛岡地域に古くから伝わる南部曲り家が建てられている。この家屋は他の地域からゾーン内に移築されたもので、その建築材料のほとんどが約200年ほど前の曲り屋の材料が使用されている。
地域内に点在していた主な工房が盛岡手づくり村に集まることで、その将来的な発展や環境は以前に比べよくなったが、それでも長期的には施設の老朽化に対応する資金調達や、後継者不足などの各種問題に依然直面しているという。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年1月22日