インフレ刺激の効果が出ていないが、10月30日に行われた会合で日銀は、金融政策の据え置きを宣言した。経済成長の見通しは引き下げ、2%のインフレ目標の達成を6カ月先送りした。また11月19日の政策会議でも金融政策の据え置きを決定した。データは日本経済が第3四半期に自律的景気後退に再突入したことを示しているが、日銀は依然として、雇用市場の需要上昇で賃金が高まり、消費が下支えされることで、日本経済は低迷を脱するとの見方を保っている。
日銀はその声明で、輸出と生産は新興国の成長減速の影響を受けているものの、日本経済はまだゆるやかな回復を続けているとし、これまでの経済の見通しを維持した。
HSBCの日本経済学専門家Izumi Devalier氏は、新たな刺激策はまだ実施されていないが、日銀の大規模経済刺激計画がGDP報告で変わることはないだろうとの認識を示した。経済がデフレの衝撃に直面しない限り、日銀は金利据え置きを選ぶこととなる。
有名な金融系ブログ「Zero hedge」では、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)のアナリストAlberto Gallo氏が、日本の緩和策は実際にはあまり効果を上げていないとの認識を示している。これによると日本では史上に例を見ない緩和策が行われているが、インフレ率は2014年にわずかに高まった後は下がり続け、再び0%にまで下がっている。ここからも短期的な金融ツールではもはや日本経済の構造的な問題を改善することはできないことがわかる。
Alberto Gallo氏によると、日本経済の問題は1980年代に始まった。当時、日本の企業の毎年の債務増加はGDPの約14%だった。だが1995年になると日本企業の債務はGDPの130%にまで達した。その後の日本は20年にわたる経済衰退期に入り、デレバレッジやデフレ、ゼロに近い金利水準、低過ぎる債券収益率などの時期を経てきた。