中国科学技術大学の郭光燦院士が指導する中国科学院量子情報重点実験室の李伝鋒研究チームは、決定論的単一光子のマルチモード固体量子保存に成功し、1度に100量子ビットの保存を可能とし、世界最高水準に達した。人民日報海外版が伝えた。
量子通信は絶対的に安全な通信方法とされており、単一光子を利用して暗号化された1量子ビットの情報を伝送する。量子通信の距離は現在100キロメートルクラスに留まっており、1000キロ以上の長距離量子通信には量子メモリに基づく中継技術が必要だ。すでに実現された量子中継案では、1量子ビットの情報を長距離伝送するのにかかる時間が分クラス以上となっている。
伝送速度を高めるには、2つの方法がある。まずは決定論的単一光子源を採用し、単一原子の発光を利用し、毎回1つの光子を発射する。2つ目はマルチモードメモリで、1度に多くの量子ビットを保存する。一般的な量子メモリの場合、1度に1量子ビットの情報しか保存できない。
李氏の研究チームは2年間の取り組みを経て、100以上の人工原子の中から発光の波長と固体量子保存にマッチする人工原子を発見し、これを光源とし決定論的単一光子を生成した。それから光ファイバーを使い、5メートル離れた、独自に開発した固体量子メモリに保存し、91.3%の忠実度を記録した。これを踏まえた上で同チームはマルチモードの量子メモリの実験を進め、1度に100量子ビットの保存に成功し、世界最高水準に達した。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年10月23日