中国・浙江省で初めて「試験管ベビー(体外受精によって誕生した赤ちゃん)」が誕生して今年で20年。まもなく成人するベビーはすでに大学生になった。その誕生の地となった病院が、成長の軌跡を追跡調査した。
1995年11月、浙江大学医学院付属産婦人科医院で、省内初となる体外受精の赤ちゃんが取り上げられた。母親は多嚢胞性卵巣症候群で不妊と診断されていた。同院はその後の20年で、わが子の誕生を望む2万人超の母親の願いをかなえている。
同院はその後、自然妊娠で生まれた子供2万人と体外受精で生まれた子供1万人を追跡調査し、その発育状況などについて比較を試みた。調査チームの一員である金帆(ジン・ファン)教授が記者の取材に応じ、その結果を発表した。
■不妊の両親から体外受精で誕生した子供は不妊の傾向があるのか?
完全な統計とは言えないが、現在、米国人の1~2%が体外受精によって誕生すると言われている。一方で現在、10組に1組(=10%)の夫婦が不妊の問題を抱えていると言われる。この比率を比較しても、体外受精で生まれた人ばかりが不妊となるわけではないことがわかる。
■知能の発達に差は出るか?
体外受精で誕生するか、自然妊娠で誕生するかということと知能の発達状況に相関性は見られなかった。ただし、体外受精を経て生まれる子供は両親が特に大切に育てる傾向があるからか、成績優秀な子も少なくない。
■体外受精で誕生した子供は成人後、内分泌系の疾患に罹患するリスクが高いか?
そのような傾向はあると言える。しかしこれは妊娠の経緯とは関係ないだろう。不妊症を患っている両親が持っている遺伝的体質が原因であると考えられる。
なお、同院を不妊治療で訪れる女性の年齢層は21歳から53歳までと幅広いが、うち25%は35歳以上だという。金教授によると、40歳を過ぎると不妊治療成功の確率はかなり下がるうえ、障害を持った子供が誕生するリスクが上昇する。
レコードチャイナ 2015年5月18日