上海自由貿易試験区 個人の海外投資を開放へ (2)
▽中外企業の国内外投融資がさらに便利に
個人だけではない。国内・海外の機関による投資や融資への便宜も拡大された。同意見によると、自由貿易区で登録した外資系企業は、上海地区にある証券取引所や先物取引所で投資や取引を行うことができ、海外にある本社も中国の資本市場で人民元建て債権を発行することが可能になる。中国資本企業は海外での証券投資や金融派生商品(デリバティブ)投資を行えるようになり、また海外から人民元資金と外貨資金を都合できるようになる。
現在、海外の投資家が中国の株式や債権に投資したいと考えた場合、適格海外機関投資家(QFII)または人民元適格海外機関投資家(RQFII)の許可証と限度額を取得しなければならない。魯チーフエコノミストによると、自由貿易区に機関を設立した海外企業にとって、こうした規定はQFIIの限度額の撤廃を意味する。人民元建て債権を発行できるようになるということは、「点心債」(香港で発行された人民元建て債権のこと。市場の規模は人民建て債権市場全体の規模よりも小さい)が香港から上海へ移動するということだ。国内の機関に対しては、世界の子会社の資金を管理する財務センターを自由貿易区で設立することを認め、区外で煩瑣な外貨管理手続きをしなければならない現在の不便さを解消するという。
自由貿易区のプラン設計に関わったこともある上海財経大学世界経済貿易学部の陳波副主任がこのほど述べたところによると、同意見の規定の一部はあいまいなもので、たとえば「自由貿易区内の金融機関や企業が海外から人民元資金を借り受けることを認める」とあるのなどは、オンショアとオフショアとで金利が異なるため、利ざやリスクを生じる可能性がある。このため今後、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)と上海市関連部門が同意見に基づいて実施細則を制定し、第一線を開放し、第二線をしっかり管理することが必要になるという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年12月3日