中日関係は「読み誤り」にまだ耐えられるか
中国が東中国海防空識別圏を設定したとのニュースの波紋がまだ広がる中、中国政府発の別の情報がまた注目を集めた。在日本中国大使館が8日、重大な突発的緊急事態の発生時に在日中国人に助力するため、自主的な在留届提出の取り組みを行うと公式サイト上で発表したことにメディアが注目したのだ。(文:高望。海外網掲載)
あるメディアはニュースを編集するにあたり、11月8日の「旧聞」を東中国海防空識別圏設定のニュースと「巧妙に」一緒に並べたうえ、「重大な突発的緊急事態」という言葉を際立たせた。こうした雰囲気の下、多くの人がこのニュースを在日中国人「退避」準備または中日間で「不測の事態」が発生するとの中国政府のシグナルだと解釈した。本当にそうなのだろうか?
まずミクロ的観点から分析する。在留届制度について言えば、領事保護は中国の在外公館にとって日常業務の1つだ。近年、在日中国人が急速に増加し、情報も頻繁に変化している。大使館は在日中国人の学習や仕事の状況、基本情報を把握し、必要時に速やかに助力する必要がある。中国の在日公館は2005年12月15日に日本での在留届制度の実施を決定した。
日本は自然災害の多い国であり、中国公館は前もって取り組みを行って初めて、突発的事態の発生時に混乱せずに対処できる。2011年の東日本大震災によって、在留届制度の重要性はなおさら明らかになった。このため、一定期間が経過するたびに、自主的な在留届提出の取り組みを行うのは極めて普通のことであり、行き過ぎた解釈をする必要はない。たとえ一万歩譲っても、中日間に真に「立て直し困難な」事態が生じた場合でも、中国政府がそのような「婉曲的」な方法で「在留民退避」のシグナルを出すことはあり得ない。それは外交慣例にも一般的な論理にも合わない。
さらにマクロ的観点から中日関係を観察すると、中日はここ数カ月また緊張へ向かう傾向を呈しているが、依然低いレベルの対立である「舌戦」の状態にある。最近米日が盛んに騒ぎ立てている中国による東中国海防空識別圏の設定でさえ、実際には正常な戦略防御行為に過ぎず、外部が考えるような深刻なことでは決してない。双方の当局の航空機や公船が関係空域、海域で遭遇した際も、撮影する、呼びかけを行うといった「威嚇度の低い」行動のみであることが多い。