第二次世界戦争中、ホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害・虐殺)を生き延びた世界最高齢のアリス・ヘルツゾマーさんが23日、ロンドンで死去した。享年110歳。ヘルツゾマーさんの家族が同日、明らかにした。南方日報が報じた。
ヘルツゾマーさんはチェコの首都・プラハで生まれた。第二次世界戦争中、チェコのテレジンにあったユダヤ人強制収容所に2年間収容された。強制収容所で過ごした2年間、ピアニストの彼女は、収容所の同胞のためにピアノを奏でた。この時期の彼女の様子は、短編ドキュメンタリー映画「The Lady In Number 6: Music Saved My Life」に描かれた。同作品は第86回アカデミー賞にノミネートされており、授賞式は3月2日に開催される。
ヘルツゾマーさんの孫にあたるアリエル・ゾマー氏は23日、「アリス・ヘルツゾマーは今朝、静かに息を引き取りました。家族がベッドの傍らで彼女を見送りました」と話した。
ドキュメンタリー映画の公式サイトには、映画のサブタイトルとなった「音楽は命を救った」という言葉について、「私はユダヤ人だが、ベートーベンを信仰している。ベートーベンの信者になると、私はもはや私ではなくなる。私の身体は、このような変化を止めることができない」というヘルツゾマーさんの談話が掲載されている。
1903年にプラハで誕生したアリス・ヘルツゾマーさんは、何不自由ない幼少時代を過ごした。だが、第二次世界戦争勃発後、テレジンのユダヤ人強制収容所に送られ、生活は一変した。彼女が弾くピアノは、強制収容所の同胞の慰めとなった。当時、テレジンの強制収容所には、14万人のユダヤ人が収容されていた。うち3万3430人は生還を果たすことができなかった。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年2月25日