緑書:北京上海広州は「持続可能な発展要素」が欠落
同済大学は23日、「中国都市の持続可能な発展緑書(グリーンブック)」を発表した。同報告のデータによると、意外なことに、天津、厦門、武漢、杭州の4都市が「持続可能な発展」をめぐる評価軸において、「最も理想的な都市」に位置づけられた。一方、各種都市ランキングで上位常連都市の上海、北京、広州は、「持続可能な発展のための要素に欠ける」と評価された。今回の結果は、全く新しいタイプの都市評価パターンに基づく評価によるものだ。課題チームは、従来の評価方法をベースとして、生態や社会発展という新たな指標にもウェイトを置き、都市を評価するための「新しい物差し」を打ち出した。解放日報が伝えた。
同済大学管理研究所持続可能な発展・管理研究所の諸大建・教授は、「都市の発展レベルを測る従来のやり方は、経済、環境、社会のさまざまな指標データを集め、それを数量化して総得点を出す方法が主流だった。この方法は今もなお、国内外のさまざまな都市ランキングを選出する際に用いられている。しかし、この方法には『致命的な弱点』もある。例えば、ある都市が高エネルギー消費・高汚染の方向に進んでいるにもかかわらず、市民1人当たりGDPが非常に高い場合、従来の評価方法に基づけば、この都市は高得点を獲得することができる」と指摘した。課題チームはこのような状況に陥らないよう、「入出力比」式評価パターンを模索した。すなわち、都市の運営を支えるための「生態資源消費量」を「入力」、都市における「人間開発指数(HDI)」を「出力」とし、国内35の大・中都市の全く新しい発展度ランキングを完成させた。
上述の2指標のうち、HDIは、国連開発計画(UNDP)が算出したもので、平均余命、識字率、就学率、国内総生産(GDP)の4指標によって決まり、ある都市の住民の生活の質をより正確に反映している。「緑書」の統計データによると、国内35大・中都市のうち、UNDFが「HDI最高位都市」と評価したのは、深セン、北京、広州、上海など9都市。その他26都市はいずれも、「HDI中位都市」と評価された。一方の生態投入(資源消費)指標は、水資源、土地資源、エネルギー資源、生活物質資源の4種類で構成されている。ランキング下位(資源消費がより少ない)に入った都市は順次、石家荘、哈爾濱(ハルビン)、南寧、福州、青島、寧波、済南で、北京は30位、上海は32位、深センは35位だった。
課題チームは、HDI指数をX軸、資源消費量をY軸とし、35都市の「持続可能な発展」に関する評価を座標軸上に示した。また、座標軸には、UNDPが発表した「HDI高位レベル」と「世界資源消費平均レベル」も表示され、「低入力・低出力」「低入力・高出力」「高入力・高出力」「高入力・低出力」の4ゾーンが形成された。天津、アモイ(厦門)、武漢、杭州4都市は「低入力・高出力」、貴陽や太原など20数都市は「低入力・低出力」、広州、深セン、上海、北京、南京5都市は「高入力・高出力」の各ゾーンに入った。
「高入力・高出力の都市が、「持続可能な発展のための要素に欠ける」と見なされる理由について、同済経管学院院長の霍佳震教授は、「都市を百貨店にたとえた場合、資源の消費は開店コストに、HDIは利益に相当する。よりコストが低く、利益が高い百貨店ほど、『優良企業』と評価され、他企業はそれに学ばなければならない」と説明した。同済大学の諸教授は、「北京・上海・広州などの『高入力・高出力』都市は、早急に発展モデルを転換する必要がある。このまま放置すれば、人口の過密、資源の枯渇、環境の急激な悪化、社会分化のスピード加速といった悪影響が生じ、さらには都市文明が苦境に陥る恐れがある」と指摘した。
専門家は、「都市化のプロセスにおいて、経済発展・社会発展・環境保全の各分野が同時進行でベストな状態に達することは不可能だ。従って、都市の持続可能な発展目標を達成するためには、これら3分野の『高得点』を機械的に追い求めるのではなく、3者間の相互作用やバランスについて十分に考慮し、一定の条件のもとで、3つの分野がお互いに調和を保ちながら、全体を『ベスト』な状態に持って行く必要がある」と提案した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年9月24日