花粉・ペットアレルギーには減感作療法が有効
世界アレルギー機構(WAO)の報告によると、世界の総人口のうち3割から4割がアレルギーに悩まされている。アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)の特定およびアレルギー疾患の治療をめぐる最新動向について、北京協和病院アレルギー科の尹佳・科長に聞いた。人民日報が伝えた。
尹科長の談話内容は次の通り。
アレルゲンの主なものには、花粉、ダニ、カビ、ペットの毛、食品、薬などがある。
食品や薬によるアナフィラキシーショックは、アレルゲンに対する急激な反応が瞬間的に起こるもので、咽頭水腫・窒息を招き、循環器系が障害を起こし、血圧低下・脈拍異常により命に危険が及ぶ可能性がある。
花粉、ダニ、カビ、ペットの毛に対するアレルギーの多くは、頻繁なくしゃみ、鼻水、鼻づまり、喘息、呼吸不全、息苦しさなど、呼吸器系に症状が出る。生命に危害が及ぶケースはほとんどないが、生活に深刻な悪影響を及ぼす。
アレルギー性疾患を治療する上で、最も大切なことは、アレルゲンを特定し、それを除去することだ。
アレルゲンが判明し、アナフィラキシーショックを起こしやすい患者は、常日頃から過敏症状に注意する必要がある。食事の後に皮膚が急に赤くなる、手足がかゆくなるといった過敏症状が現れた場合は、直ちに医師の診察を受けること。これまでに深刻なアレルギー症状が出たことのある人は、アドレナリン注射器セットを常に携帯した方が良い。
花粉アレルギーの人は、花粉シーズンには可能な限り外出を控え、室内にいること。空気が乾燥しており、風が強い日は、空気中に含まれる花粉の量が多く、アレルギー反応も酷くなる。外出時にはゴーグルとマスクを装備し、帰宅後は服を着替え、外から家の中に花粉を持ちこまないよう注意する。
毎年6月から9月は、ダニやカビなどハウスダストが多く発生するシーズンだ。これらに対してアレルギーを持っている人は、この季節になると、鼻炎やぜんそくの症状がひどくなる。室内の換気を十分に行って乾燥を保ち、シーツやまくらカバーを頻繁に換え、50℃から60℃の熱めのお湯で洗う。あるいは、ハウスダスト濃度が高いと思われるものを冷凍してダニを殺し、その後付着したダニの死骸や排泄物を洗い流すと良い。予防措置以外に、アレルギー症状が重い場合は、薬を使って症状を抑えることができる。
食品アレルギーについては、根治のための方法はまだ確立されていない。最も良いのは、アレルギーを引き起こす食品の摂取を避けることだ。花粉、カビ、ペットの毛、ダニに対するアレルギーについては、減感作療法によって治療できる。減感作療法の原理は、アレルギー症状を起こす原因物質のエキスを、長時間かけて少しずつ患者の体内に注射し、体を徐々に慣れさせていくとくもので、最終的にはアレルギー反応が出なくなる。
厳密に言えば、アレルギー性疾患の根治療法はまだ確立されていないが、アレルギー症状を引き起こす原因物質を徐々に体内に入れる減感作療法は、現時点において、アレルギー反応が起きないようにするための、公認されている唯一の方法である。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年8月19日