米国をミスリードする日本の手法
2月21日に始まる安倍晋三氏の訪米に各方面が注目している。戦後米日関係を決定してきたのはずっと米国だった。日本が日米関係に影響を与え、かつ主導権を握るというのは想像できないことのように思える。だが歴史と現実はこうした例に事欠かない。特に中国に関わる問題においてはそうだ。(文:劉江永・清華大学現代国際関係研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
第1に、米国のいわゆる共通の価値観に迎合して、米国を日本支持に向かわせる。日米首脳会談では「日米は利益と価値観を共有している」と語られるのが常だ。日本にとってこれは、精神的一体感の面から米国に影響を与える1つの方法だ。1931年の「九一八」事変(満州事変)時、日本は日本が満州に進入することでソ連による共産主義化を防ぐことができると宣伝し、フーヴァー政権を対日宥和政策へと仕向けた。戦後の吉田茂内閣、岸信介内閣、佐藤栄作内閣も米国の反共姿勢に追随して、米国から後押しを得た。米国は中国の利益を犠牲にして、釣魚島(日本名・尖閣諸島)を日本の管轄下に組み入れた。現在もなお日本の為政者は中国を主要な戦略的ライバルとして「価値観外交」を展開すれば、米国をものにできるようだ。
第2に、肝要な事実において、米国の政策決定に影響力を持つ研究者をミスリードする。釣魚島問題における典型的な例の1つとして、1996年の米国議会図書館の報告が最も肝要な問題において著しく事実を失していることが挙げられる。報告は「1895年1月14日、天皇は尖閣諸島を日本に帰属させる勅令を発した」としている。だが「尖閣諸島(釣魚島)」を日本に帰属させる天皇の勅令が発せられたといういかなる事実も存在しないのだ。1895年1月14日は伊藤博文内閣が甲午戦争(日清戦争)勝利の機に乗じて、閣議決定を通じて秘密裏に釣魚島を盗み取った日だ。日本の天皇は1896年3月5日の13号勅令で沖縄各島の範囲を公布したが、この中に釣魚島は全くない。ただ残念ながら、なんと米国の専門家はこうした基本的事実を間違えた。米国がいかに深く日本にミスリードされているかがわかる。