日本には「全面戦」が、中国には「持久戦」がある
釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題において日本は発砲はせずとも、すでに多様化と全面化の進行する「戦争」を始めている。最初に「島購入戦」、続いて「史料戦」「文献戦」、そして「外交戦」「宣伝戦」、最近では「世界遺産登録申請戦」も発動した。これには「情報戦」「心理戦」も含まれる……(文:慕容博・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
安倍氏の訪米が近づくにつれて、「戦火」の密度も高まっているようだ。火薬臭の強い「戦争」もあれば、硝煙の見えない「戦争」もある。釣魚島問題において日本は最近、武力による管轄権維持を主張し、中国側の海洋監視機と軍用機の正常な巡航を妨害し、「火器管制レーダー」事件を騒ぎ立て、いわゆる釣魚島世界遺産登録申請計画をぶち上げ、台湾海峡両岸の立場の分断を図っている……歴史や靖国神社の問題では、安倍氏は「村山談話」を見直す方針を繰り返し表明している。日本政界やメディアの一部は「中国の脅威」を誇張し、国際世論をミスリードし、「対中包囲網」づくりを煽動している。日本側の行動は元々緊張していた中日関係に改めて暗い影を落とした。
釣魚島は中日関係にとって越えなければならない敷居だ。安部政権は発足後、一度は中国側に善意を見せた。だが日本側の最近の一連のマイナスの動きによって、この善意は大きく色褪せた。「兵は詭道なり」。日本側の言動に考えがあるのは明らかだ。第1に中国との緊張関係を緩和して、痛手を負った国内経済の止血を図る。第2に民意を結束させることで現政権の基盤を固め、7月の参院選を順調に乗り切る。第3に米国の緊張感を高めさせ、米日同盟を引き締める。第4に憲法上の制約を突破して、「米日防衛協力のための指針」を見直す。
日本側の「戦争」と「詭道」は中国にとっては試練でもありチャンスでもある。釣魚島問題において「一歩譲れば何もなく平穏」はもう通用しない。中国に退路はなく、「反撃」しかない。今や中国は東中国海の巡航を常態化しており、中国の海洋監視船は釣魚島にさらに近づいている。この他にも釣魚島白書の速やかな公布、東中国海の大陸棚確定案の国連への提出等々、こうした効率的で質の高い行動は、主に外部からの圧力への「反作用」によるものだ。