「ハッカー支持」の汚名、中国は防戦一方では逆効果だ
米ネットセキュリティ会社Mandiantは先日発表した報告で、中国のハッカー組織が米国のネットに対する攻撃を行った具体的な証拠を押さえ、上海周辺から攻撃が行われたことも突き止めたと表明した。報告はこうしたサイバー攻撃を背後で組織しているのは中国軍当局の秘密組織だと結論づけている。西側メディアはこうした告発を大いに持ち上げ、いわゆる中国の「サイバースパイ活動」に対する新たな言論攻撃を先導している。(環球時報社説)
西側が中国政府と中国軍当局をサイバー攻撃の背後の支持者として描いてからすでに久しい。中国政府は再三反駁しているが、西側はこの世論戦の中で絶対的な優勢を占めており、彼らの非難には政府提供の「情報」もあれば、民間組織が被害者の立場で発したものも数多くある。米国は上から下まで中国ハッカーの害を深くこうむっているという感じを与えるもので、多くの話はいかにもまことしやかであり、西側の市民は思わず信じずにはいられない。
中国側の対応の中心は政府側の声明だ。西側は告発に様々な手管を使っているが、中国側の否定は最も基本的な事実と姿勢の表明のみで、おおむね同じ言葉を何度も繰り返すだけだ。
中国も自国の数多くの機関が大陸部外からサイバー攻撃を受けたとの報告を発表し、その最大の攻撃元は米国だとも指摘している。中国と西側のハッカーの全体的な技術格差から見て、中国側の報告は大きな信頼性を備える。
だが中国側の報告は明らかに孤立している。中国社会では通常、大陸部外からのサイバー攻撃に対して公の告発を行うことは極めてまれだ。中国内部では大陸部外からのサイバー攻撃によって一部政府機関から秘密が漏えいした事件が報告されたことがあり、このために幹部が行政処分を受けた。だがこうした具体的事例はほぼ1件も報道されない。われわれは報告一本だけで、中国こそがサイバー攻撃の真の被害国であることを証明するこうした豊富な資料をみな遮ってしまっている。
中国はサイバー空間で損をしているだけでなく、世論の世界でもさらに損をしている。中国は標準的なお役所言葉と数字を用いて「中国」の被害を語るが、西側は1つ1つのニュースによって具体的な人や機関の被害を語る。中国では表に出て来て否定や告発をするのはいつまでたっても政府側の報道官だが、西側では告発を行うのは事件の中心の「主人公」だ。後者の強い怒りと叫びの感染力は、前者ではどうしても生じえないものだ。