現実主義と保守主義の間で揺れる安倍外交 (2)
「週刊!深読み『ニッポン』」第40回 ■政治的には中国「牽制」が必要
日本で発行され、日本人を主な読者とするメディアには、近年珍しく保守的基調が見られる。先日は中国への警告に曳光弾を使用するとの根拠のない誇張報道を行ったメディアがあった。政府に軍事費の増加を要求する社説を立て続けに掲載する大新聞も非常に活気づいている。
世論の保守化は安倍首相本人の特徴である保守と期せずして一致した。日本は過去のどの時機にも増して国民全体が注目する焦点を必要としている。冷戦時、日本保守勢力の最大の敵はソ連だった。冷戦終結後、保守勢力は眼中の最大の敵をしばらく失ったが、近年日本世論は中国を主要攻撃対象に定めた。中国の経済、社会、科学技術面の変化が主たる関心でなくなると、一部保守メディアは主に中日の政治制度の相違から両国の政治イデオロギー上の溝について念入りに報道し、日本の一部地方幹部が領土紛争をつくりだすのを手助けするようになった。
政治は民意に沿う必要があるし、メディアはある程度民意を代表しているように見える。加えて安倍氏は元々日本メディアから純然たる保守主義者と考えられており、中国を「牽制」の対象と見なすことが自ずと安倍外交の重点となった。この段階に及んで「最も重要な二国間関係」は消失し、麻生氏のミャンマー訪問、岸田氏のフィリピン等歴訪、安倍氏のベトナム等歴訪に取って代られた。共同通信はこれらが対中「牽制」構築のためだと明確に指摘した。