「秘密保護法案」成立に見る日本の隠された国家戦略 (2)
■日本国民の多数は反対 海外メディアも支持せず
特定秘密保護法案の今国会での可決を一意専心に望んでいるのが日本政界の保守勢力を代表する一部の人だけであることは明らかだ。個人のプライバシーを脅かし、公権力に対する監督を弱めるこの法案に、大多数の日本国民は決して同意していない。内閣官房内閣情報調査室(日本の内閣直属の国家安全情報機関)は同法案について、9月上旬から中旬にかけて日本全国からパブリックコメントを受け付けた。10月4日に公表された結果によると、計9万480件の意見のうち賛成意見が1万1623件だったのに対し、反対意見は6万9579件で約77%を占めた。
国会議員では共産党、社会党、生活の党以外に、民主党と維新の会も現行法案に不賛成だ。自民党とみんなの党の内部でも一部議員が「造反」した。特定秘密保護法案をめぐり、ここ数日日本各地で様々な規模のデモが行われている。米紙ニューヨーク・タイムズも「Japan's Illiberal Secrecy Law」と題する社説で、日本政治の右傾化に懸念を表明した。
■陽動作戦で目的を達成 首相ら4人で内閣空洞化の恐れ
これほど多くの反対の声がありながら、安倍内閣が民主党の提出した特定秘密保護法案の今国会成立をこれほど独断専行で急ぐのはなぜか?理由はただ1つ。特定秘密保護法案は「国家安全保障会議」創設のために放った発煙弾に過ぎないのだ。
実際、国民とメディアの視線が特定秘密保護法案に釘付けになっている中、日本の今後の行方に関わる「国家安全保障会議設置法」が27日、参議院でひっそりと可決、成立した。
特定秘密保護法案と比べれば、「国家安全保障会議」こそが安倍氏のいわゆる「美しい日本」の夢の重要な構成要素だ。国家安全保障会議の創設が、現行の日本の行政権限構造および国家の全体戦略に重大な変化をもたらすことは明らかだ。まず、国家安全保障会議は大きな権限を持ち、しかもそれは首相に高度に集中する。同法によって、明治維新で立憲君主制を実行して以来最大の権限が首相に与えられる。これまでの内閣の合議制は首相と3閣僚(官房長官、外相、防衛大臣)の少数意見集中制になり、内閣は空洞化される。次に、国家安全保障会議は成立と同時に内閣に対する国会の監督からも脱し、自民党でさえ制約するすべを失う。「四大臣」の密室会議が日本の安全保障問題をめぐる決定を行い、行政機関は密室会議の決定を無条件で執行する。国会の監督と糾弾は後の祭りでしかなくなる。