ある午後、雲南省普洱市瀾滄ラフ族自治県の景邁山にある山岳少数民族・布郎(ブーラン族)の山小屋から、芳しいお茶の香りが漂ってきた。山小屋に住むブーラン族の老人が、室内の暖炉端でお茶を炒っていたのだ。男性は、茶葉の入った缶を揺すりながら火であぶり、慣れた手つきであぶった茶葉を沸騰したお湯の中に入れると、たちまち濃厚なお茶の香りであたり一面が包まれた。これは、景邁山の集落で日常茶飯に見かける光景だ。
景邁山は、お茶の産地として広く名を馳せている。山で生活も、お茶と極めて深く結びついている。山の中には、古茶畑が一面に広がり、古い山小屋の傍にも、樹齢の長いお茶の木がそこかしこに見られる。山小屋に住むブーラン族の人々は、お茶や茶酒を飲み、茶料理を食べる。奥深い山中で、茶摘み唄を口ずさみながら、楽しそうにお茶を摘む。景邁山に住む彼らにとって、「お茶のない生活」など到底考えられない。
雲南省普洱市は、国内外に知られたプーアル茶の主要産地で、同市瀾滄ラフ族自治県景邁山には、最も歴史が古く、面積が最も大きい、人工栽培型の景邁芒景古茶畑がある。古茶畑は総面積が約1870ヘクタール、うち茶葉の摘採が可能な面積は約670ヘクタール。密林の中で栽培された古い茶の木は、化学肥料や農薬を一切使用せず、100%自然のままの環境のもとで、他の樹木と共生して育ってきた。過去の記録によると、景邁芒景古茶畑では、プーラン族や傣(タイ族)など現地先住民族が、1800年以上前から栽培を続けている。摘み取られた茶葉は、人の手で揉まれ、太陽光で乾かした後、プーアル餅茶や磚茶となり、各地に出荷される。長時間かけて茶葉を発酵・熟成させて完成したプーアル茶は、独特の香りや気品を備え、奥深い中国茶文化を内包している。その価値は世界各地に知れ渡り、多くの人々の知るところとなり、こよなく愛されている。(編集KM)