中国のグルメ番組「舌で味わう中国2」の人気が高まるにつれ、同番組の料理や材料の紹介の仕方に注目が集まり、それをまねた「舌で味わう体」がネット上で話題になっている。北京日報が報じた。
同番組では、中国人がおやつ代わりに「ヒマワリの種を食べる」ことを「ヒマワリの種は、太陽とヒマワリの愛の結晶。歯と手のコンビネーションにより、この温かさに包まれ育った種の実が一瞬のうちに飛び出し、砕かれていく。そして、素朴な香りと、空になった殻だけが残る」と表現したり、魚の干物を「まばゆい日差しが、新鮮な魚と交流を交わす。これはタオ族(台湾原住民)と、天、海との約束」と解説したりするなど、独特の表現の仕方が、視聴者に強いインパクトを残している。このような芸術的な解説に、視聴者からは「作文で100点とれるレベル」などの声が寄せられている。
解説がネット上で話題になっていることに関して、同番組の胡博・監督は、「我々は、解説の言葉を考える時、言葉に厚みとアクセントを持たせるようにしている。あまりにくだけた言葉ばかりでは、視聴者は映像を見ているだけよく、説明の言葉を添える必要などなくなる」と説明し、番組のスタッフが「○○体」を意識しているわけではないことを強調した。
それでも、考え抜かれた解説の言葉が添えられると、ありきたりの事にも、新鮮味を覚えるようになる。例えば、「皿洗い」を、あるネットユーザーは、「皿洗いは、食器をすすぐとも言われ、各家庭にこれを担当するたくましい男性が必要だ。昔の人は、主婦は『陰』で、夫は『陽』と言った。キッチンでも、『陰』と『陽』が互いに助け合わなけれならない。皿洗いにも適切な時があり、食後に家族がつまようじで一服している時がその時。それより遅くなると、食べカスがお皿にこびりついてしまうし、早すぎると料理を味わったり消化したりするのに障害が出る」と、「舌で味わう体」で解説している。
近年、中国のネット上では、凡客誠品(VANCL)という企業の広告コピーをまねた「凡客体」や詩人の趙麗華の表現の仕方をまねた「梨花体」、テレビドラマ「宮廷の諍い女(原題:後宮・甄嬛伝)」の昔ながらの言い回しをまねた「甄嬛体」など、さまざまな「○○体」が次々に話題となっていることからすると、「舌で味わう体」も、一時的なブームに過ぎないだろう。中国伝媒大学の方毅華・教授は、ネット上で話題となる「○○体」は、「話題に乗っかる」という意味合いが強く、多くのネットユーザーは参加することで満足している。人気の言葉などを考えても、ネットユーザーは1円も儲からない。しかし、それにより、帰属意識を感じたり、何かを表現したいという気持ちを満たしたりすることができる。自分の投稿に多くの人が注目してくれる時に感じる喜びは、テレビを見る時より大きい」との見方を示している。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年5月15日