特定非営利活動法人日中友好市民倶楽部と淮海工学院が主催し、山梨英和大学、淮陰師範学院、天津外国語大学、中国日本語教学研究会、中国日本語教学研究会江蘇省分会、中国日本語教学研究会貴州省分会、人民網日本語版が共催する「第13回日中友好中国大学生日本語科卒業論文コンクール」は昨年6月に開催された。3カ月ほどの募集を経て、44の大学から総計48本の論文が寄せられた。
昨年10月19日に天津外国語大学で行った審査会で、言語、文学、文化・社会の3部門の受賞作品が発表された。
その後、各部門の審査委員を担当する方々がコンクールについての所感を届けてきた。
言語部門の審査委員である南開大学の王健宜教授が寄せた所感は次のとおり。
「第13回日中友好中国大学生日本語卒業論文コンクール」に言語部門の審査員として参加し、光栄に思います。まずは、長年この事業に貢献してきた小野寺健日中友好市民クラブ理事長に敬意を表します。また、事務局長として、審査のお仕事を快くお引受いただいた審査員の方々に感謝いたします。同時に、審査会場のご提供などでご尽力いただいた天津外国語大学の関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
私はこのコンクールに第1回から参加し、その成長振りをこの目で見てきました。当初、参加大学も少なく、なんと言っても応募論文のレベルが低かったことは、とても印象的でした。今回の言語部門の22本の論文は、もし当時のレベルで考えれば、いずれも一等賞に入賞すべき秀作ばかりです。「十年一昔」といいますが、まさにその通りです。中国の日本語教育事業は、卒業論文を通してその成長の著しさが分かると思います。
学部生の卒業論文は学問的な基礎作りが一番大事です。学際的な研究よりも、地道な努力に頼る基礎作りは、将来の更なる学問上の飛躍につながる土台です。「千里の道も一歩より」とも言われるように、学問の基礎研究が何より重要ではないでしょうか。
独創性(オリジナリテイ)は論文の魂ですが、それはある意味ではテーマ次第だ、と思います。今回の入賞論文はいずれもテーマーからその創意工夫が窺われたものばかりです。独特の着眼点と斬新な研究手法が巧みに駆使された作者の慧眼を見る事ができます。そういう意味では、通り一遍のものは、論理性や整合性が具備されても、入賞は難しいでしょう。中国の日本語教育はもうそこまで来ている、と言わざるを得ません。
第1回から今回までの入賞論文を読み比べることもさぞ面白いだろうと思い、また今後の入賞論文を一読することを待ちわびて、筆を擱きます。
「人民網日本語版」2014年2月25日