102歳の中国女流作家、11年間で印税1.6億円を寄付 (2)
■「好読書」奨学金、すでに1000万元を超える
清華大学教育基金会によると、2001年に楊絳氏と夫で文学者・作家の銭鐘書氏は、これまでの原稿料や出版物の印税を母校の清華大学に寄付して、「好読書」奨学金を設立したという。2012年末までに、奨学金の寄付金は計1000万元(約1億6200万円)に達し、奨学金を受け取った本科生や研究生はすでに数百名にも上っている。
「好読書」奨学金は、楊絳氏夫妻が2001年上半期に得た原稿料と出版された全作品の報酬計72万元(約1166万円)で設立したもの。2011年に清華大学「好読書」奨学金の贈呈式の場で、楊氏は「1955年、銭鐘書が重病を患った時、我々一家3人はすべての原稿料と印税を、清華大学で設立した奨学金に寄付することを話し合いの上で決めた。この奨学金の名前は『好読書』といい、個人の名前はつけていない。奨学金の趣旨は貧困に悩む学生を助け、勉強がよく出来て、熱心に勉強する貧困家庭の子息たちが憂慮なく学業を終えることができるようにするためのもの。奨学金を得た学生は清華大学の校訓である『自ら強めて息まず、徳を厚くし物を載す』を心に銘記し、一生努力して実践していくことを期待している」と語った。
■楊絳(ヤン・シャン)氏 略歴
本名は楊季康、中国の著名な女流作家、文学翻訳家、外国文学研究家。原籍は江蘇無錫。1911年7月17日北京に生まれる。少女時代は北京、上海、蘇州などの学校に通う。1932年に蘇州東呉大学を卒業後、文学学士の学位を取得。同年、清華大学の大学院に進み、外国語文学を専攻する。1935年に銭鐘書氏と結婚。上海震旦女子文理学院外国語学部教授、清華大学外国語学部教授を歴任する。1949年、中国社会科学院外国文学研究所に所属。1981年、文革期の知識人の強制労働改造体験を書いた散文『幹校六記』を発表し国内外で高い評価を獲得、以降、散文、小説、評論などを次々と発表している。短篇小説集に『倒影集』、評論散文集に『春泥集』『回憶両篇』『記銭鍾書与囲城』『関干小説』『将飲茶』『洗澡』などがある。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年7月18日