<企画>中華圏で伝説となりつつあるアン・リー監督
中国・台湾で生まれたアン・リー(李安)監督の映画界における活躍は、かつて全米に衝撃を与えたカンフーアクション俳優ブルース・リーと同じく、中国人の間では、すでに伝説となりつつある。2月25日に発表予定の第85回アカデミー賞11部門にノミネートされている新作「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」は1月31日時点で5億2500万米ドル(約477億円)を超える興業成績を上げている。この世界的大ヒットを受け、アン・リー監督の類まれなストーリーテラーとしての能力や全く新しいジャンルに挑戦しつづける勇気が改めて中華圏でも評価されている。
■中国人監督としてトップの興業成績、数々の映画賞受賞の栄光
アン・リー監督が、中国で伝説のアクションスター、ブルース・リーと並んで語られるわけは、若くして米国に渡ったこと、米国で正式にアカデミックな教育を受けていること、また米国社会への影響力の大きさの3点がある。アン・リー監督は台湾で国立の芸術系短期大学を卒業した後、米国に渡り、その後、イリノイ州立大学とニューヨーク大学で正式に映画を学んだ。[記事全文]
■自らに高いハードルを課し、挑戦し続ける映画の開拓者
しかし、興業成績や数々の映画賞受賞よりも、驚かされるのはアン・リー監督の手掛けてきた映画ジャンルの幅広さに加え、アン・リー監督が毎回自らに課す新たな「挑戦」への姿勢だ。通常の外国人監督ならしり込みするような、米国の真髄ともいえる文化や歴史をテーマにした映画にも果敢に挑戦するなど、毎回、越えられないような高いハードルを自らに課し、それを克服していく姿はどこか修行僧を彷彿させる。[記事全文]
■アン・リー監督 中国人としてのアイデンティティ
中国・台湾で生まれたアン・リー監督は役者になる夢を追いかけ米国に渡る。アン・リー監督が中国人であるにもかかわらず、非常に西欧的な映画を撮ることや、「グリーン・デスティ二ー」の公開時に中国で巻き起こった西欧に媚びた映画という批判も、すべてが米国の大学で正式に映画を勉強したというキャリアによるところが大きい。しかし、アン・リー監督の根にあるのはやはり中国人的な思考や教養であり、故郷台湾に対する思いも強い。アン・リー監督は、東洋と西洋の両方をうまく自分の中に取り込み、あるいは切り替えながら創作活動を行っている。[記事全文]
■新作「ライフ・オブ・パイ」の少年はかつてのアン・リー監督の姿
新作「ライフ・オブ・パイ」の撮影は、アン・リー監督にとっても特別な体験だったという。1人の少年、1匹のトラ、1隻の船が太平洋で漂流する奇跡の物語。最後にひっくりかえる結末。すべてが映画化不可能に思え、まるで自分が少年パイのように太平洋に漂流しているような孤独や絶望に何度も襲われたとアン・リーは語っている。[記事全文]
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「人民網日本語版」2013年2月21日