フードデリバリー容器が速乾ポロシャツに変身
低炭素ポリプロピレン生地から作られたポロシャツ。画像提供は取材先
フードデリバリーの普及に伴い、大量の容器が廃棄されるようになった。これらの容器は使用後にどこに行くのか、プラスチック汚染をもたらすのだろうか。デリバリープラットフォーム「美団」が設立した美団青山科技基金の支援を受け、東華大学先進低次元材料センター上級研究員の李斌氏らが共同開発した初の再生容器で作る低炭素ポリプロピレン生地がこのほど、正式に発表された。チームは廃棄容器の画期的な加工と性質変更を行い、超極細ポリプロピレン繊維を作ることを打ち出した。そして、これを速乾機能を持つポロシャツにした。科技日報が伝えた。
データによると、中国で毎年使用されるフードデリバリー用の容器はすでに100万トンを超えている。李氏は、「こうした容器の行き場を考えた際に、我々は20年以上前に廃棄ペットボトルが再生ポリエステル生地に作られたことを思い出した。そこでポリプロピレンで作られた容器も回収後に再生ポリプロピレン生地にできるのではと考えた」と述べた。
チームの検証によると、このアイデアは技術的に一定の実行可能性を持つが、実現には課題もあった。例えば再生容器の不純物や匂いの除去、紡糸、生地生産など複数の段階に技術的問題があった。まずは容器の回収と洗浄で、回収された容器には通常多くの不純物が含まれ、熱洗浄や超音波洗浄などの特殊技術が必要だった。次に粒状化して性質変更することで、容器の材料は流動性が高く分子量が少なく、数回の加熱と溶融により性能が大幅に下がるため、混合変性によりその性能を高める必要がある。そして紡糸で、再生材料紡糸は製法に対して特殊な要求を持つ。加工時に相応する技術及び製法を調整して初めて合格の超極細ポリプロピレンを作ることができる。
李氏は、「上述した問題を解決するためには産業チェーンの川上と川下の一体化を行い、専門的な人材に専門的な仕事をさせる必要がある。複数の関係者の弛まぬ努力により、チームは最終的に難題を一つずつ解決し、『再生容器―切片―粒状化―紡糸―織布―完成した衣料品』という技術ロードマップを形成した。フードデリバリー容器の速乾性ポロシャツとしての再利用を実現した」と述べた。
李氏によると、このポロシャツは一般的な商品と違いはないように見えるが、実際には超極細ポリプロピレン繊維の疎水性と速乾性という独特な優位性を持つ。ポリプロピレン自体が親水性を持たないため、人が汗をかいた後でも汗は生地に吸収されず速やかに排出される。またこれは保温性が高く軽い。ポリプロピレンの熱伝導率が低く、超極細ポリプロピレン繊維は通常、保温インナーに作られる。しかもポリプロピレンの密度はわずか0.9前後で、ポリエステルやその他の繊維よりも軽いため、超極細ポリプロピレン繊維は速乾性の高い衣料品やスポーツウェアに用いられることが多い。
美団青山計画プロジェクトディレクターを務める田瑾氏は、「このポロシャツの生地は廃棄されたフードデリバリー容器から作られているため、従来の超極細ポリプロピレン繊維よりも低炭素で、プラスチックの循環を促進する独特な意義がある。チームは以前、再生容器材料の第3者炭素計算を行った。その結果によると、非再生材料と比べ、その炭素削減量は73%に達した」と述べた。
スポーツウェアの需要が近年増加するのに伴い、超極細ポリプロピレン繊維の市場シェアが年々上がっている。チームはその応用の将来性に自信に満ちている。李氏は、「再生容器材料から作られた低炭素ポリプロピレン生地は、再生ポリエステルに並ぶ持続可能な繊維生地になる見込みだ。将来的により多くのブランドと消費者から注目されると信じている」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年12月27日
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