ヴェリア・ゴヴァエレ教授は、「国連ミレニアム開発目標はグローバル化を背景として推進・実現されるものであり、持続可能な発展の実現における貿易自由化の重要性を考慮しなければ、各国の発展を理解することはできない。この分野において、ラテンアメリカと中国の貿易が重要な役割を果たした」と指摘。「ラテンアメリカの左翼政治において、『中国の奇跡』はこの時代の真の手本と見なされ、社会の公平性を伴う経済成長、貿易の開放と内発的な技術発展、そしてイデオロギーに縛られないグローバルな相互依存を象徴していると捉えられている。『一帯一路』(the Belt and Road)イニシアティブにおいて、世界的な大国が初めてラテンアメリカに尊重の態度を持って接してくれた。これこそが持続可能な発展と恒久的な協力の鍵だ」と述べた。
エドモンド・ムカラ主任は、「現在、世界が気候変動や食糧安全保障、地域摩擦など多層的で多様な危機に直面する中で、発展の活力と持続可能性を守るには、地域の協力を強化し、危機予測体制を整える必要がある」との見方を示した。ムカラ主任はそのために次のような提案を行った。(1)地域と国際協力を強化し、データの入手可能性と質を改善し、危機予測体制の構築と改善につなげる。(2)地域のキャパシティビルディングと具体的な状況に的を絞った長期的な適応措置への投資を増やす。特に農業や畜産業における危機対応力と食糧安全保障を強化し、これから起こり得る紛争と難民の発生の影響を和らげる。(3)地域の気候変動や人口の爆発、暴力及びそれに関連して発生するリスクと危機に対応するために、グッド・ガバナンスを強化する。
会議に出席した国内外の学者は基調講演についてコメントし、シンポジウムのテーマをめぐって話し合った。出席者らは世界地域研究コンソーシアムについて、「『多様な視点、全面的、オリジナリティ重視、理解促進』のルールの下で、学術分野を跨いだ研究の推進、学者間の協力と学術革新をともに推進し、国家、地域ひいては世界レベルの新しい現象、新しい問題、新しい課題にともに対応し、世界各国の人々の相互理解と平等な認識に立脚した新しい知識体系を築き上げていくべきだ。世界各国の学者は国際理解の促進、交流の強化、そして世界平和と発展の推進という偉大な任務を背負うべきだ」との認識で一致。世界発展に不安定性をもたらす根源をなくし、国家間の協力を促進し、経済振興と包摂的な成長を実現するために力を合わせていくべきだとの提言を行った。
会議では世界地域研究コンソーシアムの公式サイトと公式アカウントを発表し、そして初の成果物としてまもなく出版される「地域研究:グローバルな視点」という論文集を紹介し、新刊「インデックス・グローバル2022」を正式発表した。上記の成果は、地域研究学という新学術分野の創設という背景の下で、北京外国語大学が2022年にこの学術分野に積極的に取り組んできたことの実務的な成果であり、学際的で、異なる視点が融合し、人的・文化的な交流が行われるという地域研究学の特徴を反映している。
最後に、楊丹学長はシンポジウムの総括で、「世界的・時代的・歴史的な大変動が進む中で誕生した地域研究コンソーシアムは、世界の問い、時代の問い、歴史の問いに答える責任を果たさなければならない。思想上の交流を行い、異なる見解をぶつけ合い、変化が生まれ、進化することで、必ず豊かな成果が生まれる。『相互理解を促進し、ともに美しい未来を創る』ために、そして人類運命共同体の構築のために、新しい知恵と経験を提供するべきだ」と述べた。そして、2023年のコンソーシアムの活動について、学術交流の強化、学者間の協力の推進、学術分野の推進、学術誌の作成、プラットフォームの整備という5点を挙げた。
今回のシンポジウムには、世界地域研究コンソーシアムのメンバー、国内学術機関の代表者が出席した。シンポジウムはZoomでライブ中継され、最大で4000人以上が視聴した。
「人民網日本語版」2022年12月21日