広東省広州市や河南省鄭州市といった地域では11月末に映画館が秩序に基づいて営業を再開し始めている。中国の新型コロナウイルス対策が調整されているのを背景に、12月に入ってからは、雲南省や山東省、新疆維吾爾(ウイグル)自治区、北京市といった地域でも、映画館が営業を再開している。12月5日24時の時点で、中国全土で営業している映画館は5655館で、営業率は45.51%となっている。浙江省だけを見ると、営業率は約80%に達し、5日の時点で653館が営業している。広東省や江蘇省、上海市、広西壮(チワン)族自治区、海南省、貴州省の営業率も7割を超えている。人民網が各社の報道をまとめて報じた。
北京市電影(映画)局が7日に発表した「映画上映施設のPCR検査陰性証明チェックなどの関連業務をさらに最適化することに関する通知」は、7日から、映画を上映する施設に入る場合、PCR検査陰性証明のチェックを受ける必要はなく、QRコードをスキャンするだけで入場することができるとしている。また、各区に対して、条件を整えた映画上映施設の営業を、段階的に、秩序に基づいて再開するように求めている。
ハリウッドで活躍する巨匠・ジェームズ・キャメロン監督がメガホンを取ったSF大作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は今月16日に、中国大陸部で封切られることになっている。新型コロナウイルス対策の緩和や「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」といった洋画のバックアップは、映画館関係者にとって「カンフル剤」になるとみられている。北京で働いている女性・何さんは取材に対して、「家の近くの映画館が営業を再開すると聞いて、すぐにアプリを開いて『ONE PIECE FILM RED』や『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』などの映画のチケットを購入した」と話した。
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の前売り券は7日に発売が始まった。映画産業に関する統計を発表している灯塔専業版の統計によると、発売開始4時間で、興行収入が500万元(1元は約19.6円)、約6時間で1000万元を突破した。ある映画館の責任者は、「『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の前売り券発売開始と同時に、映画館は目に見えて忙しくなり始め、興行収入も、動員数も目に見えて増加した。この映画は話題作であると同時に、各地の映画館が営業を再開した時期とも重なったのがその原因だ」と説明する。
2009年12月14日に北米で封切られた(中国大陸部の封切り日は2010年1月4日)「アバター」 は、3Dバーチャル映像やモーションキャプチャによって作り出されたアルファ・ケンタウリ系惑星ポリフェマス最大の衛星パンドラの世界が見る人を魅了し、世界中で社会現象を巻き起こし、大ブームとなった。そして、興行収入30億ドル(1ドルは約136.8円)という大記録を打ち立て、歴代興行収入1位の座を今でもキープしている。さらに、アカデミー賞において撮影賞、美術賞、視覚効果賞を受賞した。予告動画を見ると、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」のストーリーは前作を引き継いでおり、サム・ワーシントン演じるジェイク・サリーも引き続き登場する。しかし、舞台は前作とは全く異なり、薄暗いパンドラの熱帯雨林から、サンゴ礁のある海辺へと移り、強烈なビジュアルインパクトが特徴だ。キャメロン監督は、水中撮影用のモーションキャプチャシステムを構築し、海底を潜るリアルなシーンを撮影した。また、制作チームは、90万ガロンの海水が入る巨大な水槽を用意して、海の流れを最大限再現したという。
今後の映画市場に関して、上述の責任者は、「洋画の上映期間は通常1ヶ月。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の上映が終わると、ちょうど春節(旧正月、2023年は1月22日) 映画の公開時期となるため、映画市場は回復に向かうと思う」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年12月9日