中国の自動車メーカーがドイツで開催されたモーターショーに出展した電気自動車(EV)の最新モデル。(撮影・李強)
欧州ではここ数年、新エネルギー自動車(NEV)の需要が増加し続けることに伴って、中国独自ブランドの自動車メーカーの海外進出が相次いでいる。電気自動車(EV)用バッテリー、メタノール燃料、自動運転などの分野では、中国企業と欧州企業の研究開発協力が急速に推進されている。人民日報が伝えた。
欧州の消費者に受け入れられる
中国の新エネ車メーカーの上海蔚来汽車はこのほど、ドイツ・ベルリンで発表イベントを開催し、ドイツ、オランダ、デンマーク、スウェーデンの4ヶ国の市場へのサービス提供を開始した。これ以前には、比亜迪汽車(BYD)とドイツのレンタカー企業のシクストが長期協力合意を締結し、BYDが欧州市場向けに新エネ車のレンタルサービスを提供し、レンタカー市場のEVへのモデル転換を共同で推進することになった。自動車業界のコンサルティング会社のイノヴェヴがまとめた統計では、今年上半期に中国メーカーが欧州で登録した新車の台数は約7万5千台に上り、23年までに15万台に達する見込みという。
ドイツ市場を例にすると、欧州最大の自動車関係団体であるドイツ自動車連盟(ADAC)がこのほど発表したデータによると、今年1-7月に中国メーカーの自動車約7千台がドイツでナンバープレート登録され、ドイツの自動車市場全体に占めるシェアは0.5%になった。同連盟は、「現地ブランドが圧倒的に優位なドイツ市場において、上海汽車集団の『名爵(MG)』の売上は一部の老舗メーカーに追いつき、追い越した例もある」とした。今年初めには、ドイツ連邦自動車局(KBA)が初めて中国メーカーを公式統計データに組み込んだ。
現在、欧州市場で中国のNEVが受け入れられているのは、自動車業界のグリーン発展のトレンド、各国の環境保護・省エネ・汚染物質排出削減の目標と密接な関連がある。最新のデータによれば、NEVは今や欧州新車販売台数の20%を占めている。中国メーカーが欧州で販売する車はプラグインハイブリッド車(PHV)、バッテリー電気自動車(BEV)などの新エネ車が圧倒的多数を占め、そのうち上海汽車の「名爵」は新エネ車の売上上位20位に食い込んだ。中国製NEVはノルウェー、ベルギー、英国、ドイツなどの市場に輸出され、中国ブランド車の輸出の成長を牽引する重要な原動力になっている。
全産業チェーンで各国のグリーンモデル転換をサポート
中国のNEVと共に、NEV関連のマーケティング・アフターサービスネットワークも欧州市場に進出した。上海汽車の「名爵」は現在、欧州16ヶ国に進出しており、ブランド販売店は20年の65ヶ所から今や400ヶ所以上と急増している。年内には650ヶ所に達する見込みという。
蔚来は21年9月、ノルウェーの首都オスロで初の欧州の直営店とバッテリー交換ステーションを相次いで開設したほか、年内にドイツやオランダなどでも製品販売とサービスを拡大する計画だ。小鵬汽車は初の欧州直営店をスウェーデンの首都ストックホルムで開設し、その後の半年間にオランダ、デンマーク、ノルウェーでも続々と直営店をオープンする予定だ。
欧州のNEV市場が絶えず拡大するのに伴って、EV用バッテリーに対するニーズも増加を続け、一部の中国の自動車用バッテリーメーカーが欧州に投資して工場を設立するようになった。今年6月には、合肥国軒高科動力エネルギー有限公司のドイツ生産拠点が始動した。この生産拠点はドイツに本社があるボッシュ・グループから買収したゲッティンゲン工場をベースに、従来の自動車部品生産からバッテリー製造へとモデル転換・高度化したものだ。計画では、同拠点プロジェクトではバッテリーの年間生産能力が18ギガワット毎時(GWh)規模に達することを見込むという。寧徳時代新エネルギー科技股份有限公司はドイツ・テューリンゲン州に18億ユーロ(約2606億円)を投資してバッテリー拠点を建設する計画で、26年に年間生産能力60GWhを実現するとしている。このプロジェクトではBMW、メルセデス・ベンツ・グループ、フォルクスワーゲン(VW)などのメーカーにバッテリーを提供するほか、2千人を超える雇用を生み出すことになるという。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年10月17日