中国の名門学府である清華大学の講師を務めている高等職業学校卒業の女性が最近、ショート動画共有アプリ「抖音(TikTok)」で一躍時の人となり、200万個の「イイね!」が寄せられている。さらに、最近では中国教育部(省)の記者会見にまで登場した。中国新聞網が報じた。
その女性は「90後(1990年代生まれ)」の邢小穎さんで、陝西工業職業技術学院を卒業した後、清華大学の基礎工業訓練センターで、実践課の講師を務めている。これまでの8年の間に、1万5000人以上の学生を受け持ってきた。
教育部が5月24日に開いた「教育この10年」職業教育特別記者会見で、2012年に中国共産党第18回全国代表大会が開催されて以降の職業教育改革の発展と成果が紹介された。邢さんは、ビデオ通話の形でその記者会見に参加し、ここ10年の自身の職業教育の歩みを紹介して、注目を集めた。
TikTokと微博の検索のトレンド入りしている邢小穎さん。
邢さんは5月29日、「昨年、鋳造課の動画が大きな話題になって以降、教育部の記者会見での発言も含めて、たくさんのネットユーザーが私にメッセージを送ってくれた。ここ10年は職業教育のおかげで、素晴らしい人生を送ることができるようになった。自分のエピソードを職業学校の学生に伝えることができてとてもうれしい。学生たちの励みになればと思っている」と、「時の人」となっていることについて語る動画をアップした。
邢さんは、「自分は特別なケースではない。私のように陝西工業職業技術学院を卒業した後、清華大学で勤めるようになった人は合わせて13人いる。さらに、たくさんの職業院・校卒業生が、『全国労働模範』や『五一労働奨章』を受賞してきた。私はそのうちの1人に過ぎず、思いがけずネット上で話題となり、多くの人に知られるようになった」と強調する。
全ては2021年10月にアップされた一連の動画がきっかけだった。
動画を見ると、邢さんの授業は、活気にあふれ、とても自由な雰囲気の中で行われている。鋳造のカリキュラムは、理論だけ教えても、学生は実際の操作や技術をマスターすることはできないため、邢さんは原理を教えながら、実際の操作も実演し、鋳造の全ての操作の過程の要点を学生らに説明している。そして、質問をして、答えてもらうことで、学生が印象深く学べるようにし、学生が手を動かしてやってみようと興味を持つようにサポートしている。
2021年末、邢さんの鋳造技術の授業を撮影した一連の動画が清華基礎工業訓練センターの公式TikTokアカウント「清華実践」にアップされると、2億3000万回以上再生され、ネットユーザーから200個以上の「イイね!」が寄せられた。
ネットユーザーたちは、斬新なスタイルの授業に目を丸め、「とても生き生きとしていておもしろいし、細部まで説明されていて、あっという間に見終わった」や「TikTokで授業を見たけど、素晴らしかった」といったメッセージを次々と寄せている。
邢さんは2011年に陝西工業職業技術学院に入学し、材料成形・制御技術を専攻。クラスの女子学生は少なかったものの、決して諦めることなく、授業の約半分を占める実践研修も一生懸命頑張り、最終的に総合成績トップで、清華大学の基礎工業訓練センターの講師に推薦された。
学習期間中の実践研修が、邢さんが清華大学の講師を務めるための、強固な基礎となっている。また、邢さんは、あらゆる機会を捉えて、授業の方法を模索し、よどみなく実演しながらも、学生たちが気を逸らさずに学び、よく理解できるように励んでいる。そして、授業のコツを完全につかみ、7年連続で清華大学基礎工業訓練センターから、実践教育一等賞を授与されている。
邢さんは教壇に立ちながら、レベルアップし続けることができるよう、自分の専門分野の知識をさらに深めている。例えば、2015年には中国地質大学で専科(短大に相当)の学歴を学部の学歴に上げる試験を受け、2017年には、工学の学士を取得。さらに、専門分野の研究を進め、論文を書き、特許出願をし、2021年にはエンジニアにもなった。
邢さんの経歴は、中国における職業教育のここ10年の発展の縮図でもある。教育部の最新統計によると、中国はすでに世界最大規模の職業教育体系を構築しており、職業学校が1万1200校あり、在校生の数は2915万人以上に達している。邢さんは、「職業院・校の卒業生も、さらに高く、遠く、広い世界を見ることができるほか、多種多彩な発展の道を選ぶことができ、素晴らしい人生を送ることができる」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年5月31日