エナメル質は硬いが再生できない上、構造が複雑であるため、その修復は常に生体工学分野の難題となっている。このほど中国の学者が中心に行った人工エナメル質の研究に新たな進展を遂げた。構造と性能が天然のエナメル質に近い複合材料が、次世代の歯の修復材料になる見込みだ。新華社が伝えた。
同研究は、北京大学口腔病院の鄧旭亮教授のチームは、北京航空航天大学の江雷院士、郭林教授のチーム及び米ミシガン大学のNicholas A. Kotov教授と協力し、エナメル質類似体複合材料の制御可能な生成及び性能の研究で重要な進展を遂げた。
同研究は「ナノ構造ユニットのマクロ合成及び制御可能なアセンブリ」に基づき、マルチスケールエナメル質類似体複合材料の合成ルートを設計し、エナメル質に近いエナメル質類似体複合材料の制御可能な生成を実現した。天然生体材料のマルチスケール・レベル別構造の複製を通じ設計した生体模倣複合材料は、生物原型の構造の複雑性を留めた。高い剛性、硬度、強度、粘弹性と強靭性の結合を実現した。人工エナメル質のマクロアセンブリに向け新たな工学的設計方法とルートを提供している。
鄧氏によると、マルチレベルエナメル質類似体複合材料の力学的性能は、その成分を変えることで調整でき、それによって性能が天然の歯に近い複合材料を生成できる。この材料は天然のエナメル質に近い硬度と弾性率を持ち、歯の咀嚼に必要な硬度と強度を提供でき、かつ健康的な歯の過度な摩耗を防げる。天然のエナメル質よりも優れた粘弹性と強靭性を持ち、より大きな振動と衝撃力に耐えられる。この構造と性能が天然のエナメル質に近い複合材料は、次世代の歯の修復材料になる見込みだ。
同研究は「人工エナメル質マルチスケール構築」をテーマに、2022年2月、国際的に有名な学術誌「サイエンス」にオンライン掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年2月9日