ミラノコレクションで高く評価された中国手織り木綿の故郷を訪ねて

人民網日本語版 2021年09月08日16:46

河北省石家荘市賛皇県の原村土布文化産業園で、崔雪琴さん(60)が伝統的な手織り機の前に姿勢正しく座り、白と緑の縞模様の「原村土布(手織り木綿)」を織り上げ、次第に布の形を作り上げていっていた。

崔雪琴さんは、河北省の省級無形文化遺産項目「賛皇原村土布紡績技術」の伝承者だ。16年間に及ぶ努力を通じて、彼女は地元で途絶えつつあった伝統的な手織り技術の伝承者として活動しているだけでなく、農村女性約1300人に収益をもたらしている。その上、イノベーションによって土布の海外進出を実現し、ミラノコレクション(ミラノ国際ファッションウィーク)でその素晴らしさが披露された。

崔さんによると、土布は千年前から中国民間で伝えられてきた手織り技術の一つという。「原村」という名前は、1つの村ではなく、賛皇県全ての土布を産出する村を指し、原始的な手織り工芸技術を用いた「オリジナルテイストそのもの」の土布を意味している。

質感が荒く、色も単調な従来の土布と異なり、原村土布はやわらかい手触りでその色彩も豊かだ。崔さんは、「これは、原材料の綿花の質が良くなっているだけでなく、工芸技術が改良されたことによるものだ。また、染料には鉱物顔料や木の葉、ブドウといった植物からの抽出物しか使っておらず、ホルムアルデヒドなどの化学物質は一切含まれていない」と説明した。

2005年に石家荘市で運営していたアパレル関連ビジネスが赤字に陥っていた崔さんは、母親の勧めで故郷に戻り、土布の技術に関する研究に着手した。当初は借金して紡ぎ機7台と中古の織り機5台を調達するところから始めた崔さんの土布の仕事は、瞬く間に軌道に乗っていった。彼女は2007年には、村に住む中・高年女性60数人を組織して専業合作社(専門協同組合)を設立し、農村女性に土布作りの技術を学ばせることで、「織姫」を育成した。

そこから10数年にわたる発展を経て、合作社はすでに現在紡ぎ機1千台と土布用織り機約350台を擁するようになっており、周辺の6郷・鎮にある17村の女性約1300人と共にそのビジネスを成長させている。

2017年になると、原村土布は海外貿易部門を設け、独フランクフルトのテキスタイル国際見本市やベルギーのフランダース国際貿易博覧会に相前後して出展した。その後、イタリアファッション評議会のマリオ・ボセッリ(Mario Boselli)会長からの招待を受け、ミラノコレクションへの出展を果たした。

崔さんは、「ヨーロッパの展示会に参加すると、海外の人々は親指を立て、『中国の伝統工芸は非常に素晴らしく、中国の農民は極めて偉大だ』と絶賛してくれた」と、顔をほころばせながら語った。(編集KM)

「人民網日本語版」2021年9月8日

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