2021年8月5日、スマートフォンの便利なデジタル人民元決済手段を見せる北京市民。(撮影・胡慶明。写真提供は人民図片)
英国ロイター通信がこのほど伝えたところによると、人民元国際化指数(RII)が5年半ぶりに最高を更新したという。米国シティバンクは、「2030年には、人民元が日本円と英ポンドを抜いて世界3位の国際決済通貨になる可能性がある」と予測した。(文:宋科・中国人民大学国際通貨研究所副所長)
2009年、越境貿易における人民元建て決済のテストが始まり、人民元国際化の幕が開いた。それからの10数年で、越境貿易から金融取引へ、さらには国の外貨準備へ、人民元は市場化レベルと国際的な認知度が絶えず上昇し、貿易投資の円滑化、金融のイノベーションの発展、実体経済へのサービスなどを推進する上で重要な役割を果たしてきた。
中国人民大学国際通貨研究所(IMI)が発表するRIIは、2010年第1四半期(1-3月)の0.02から2020年第4四半期(10-12月)には5.02になり、10年間で250倍以上上昇した。同期の米ドル国際化指数は51.27、ユーロ国際化指数は26.17と、まだ相当の開きがあるが、人民元はすでに日本円国際化指数の4.91と英ポンド国際化指数の4.15はすでに抜いており、3四半期連続で主要国際通貨ランキングの3位になった。
こうしたことからわかるのは、資本項目がまだ完全には開放されていない中で、ここ数年は人民元の国際化レベルが全体として上がり続け、中国の特色を備えた通貨国際化の道を見つけ出したことだ。その原因を考えると、主に次の3点が挙げられる。
(1)実体経済は通貨国際化の基盤であり、中国経済は長期にわたり「危機なき成長」を維持し、人民元国際化に着実な後ろ盾を提供した。新型コロナウイルス感染症が世界的に猛威を振るい、世界経済全体が衰退の危機に陥り、外部環境がますます厳しくなる中、中国は世界の主要エコノミーの中でいち早くプラス成長を果たした唯一のエコノミーになり、人民元と人民元建て資産により大きい国際的な信頼と認知度をもたらした。