「月で野菜を栽培できるか」という質問が最近、SNSの検索ランキングにたびたび浮上している。全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の会期中、全国政協常務委員で、中国工程院院士を務める中国月探査プロジェクトチーフデザイナーの呉偉仁氏はこれについて、「月の現在の自然環境で野菜や穀物を栽培するのは非現実的だが、将来的に月科学研究ステーションで人工栽培を行う可能性は否定できない」と述べた。中国新聞網が伝えた。
呉氏は「科学者の推算によると、月の南極に氷が存在する可能性がある。月の誕生プロセスにも水が存在したはずだ。月の南極と北極には深い穴があり、その中には長時間日が差さず、水が氷として存在している可能性が高い。中国は将来的に月の南極を探査し、氷を探すことがその非常に重要な科学目標になる。月に大気がなく、現在の月の自然環境では野菜を栽培できないが、将来的に月科学研究ステーションを建設し、野菜や穀物を人工栽培する可能性を否定できない」と説明した。
月探査は常に世界各国の宇宙探査の注目点だ。月探査機「嫦娥5号」の帰還モジュールが2020年12月17日、月の約1731グラムのサンプルを携え内蒙古(内モンゴル)自治区四子王旗に着陸した。中国初のサンプルリターンを実現し、中国の月探査プロジェクトの「周回・着陸・帰還」の3ステップの実現に完璧なピリオドを打った。
このサンプルの研究の進捗に人々の注目が集まっている。呉氏は「月のサンプルは主に月の土壌で、細かい鉱物粒子、岩石の断片、ガラス質粒子などが含まれる。月の土壌は地球上の土壌または石と比べどう違っているのか。現在の比較対照、化学検査、分析によると、月のサンプルは北京地区の地質構造と比べ一部の違いがある。一部の指標の違いが比較的大きく、科学者によるさらなる研究が待たれる」と述べた。
呉氏によると、採取された月のサンプルには次の3つの用途がある。1番でそして最も主な目的は科学研究だ。2番目として、一部のサンプルは国家博物館に収蔵され、一般公開され、科学普及教育が行われる。3番目として、国際協力公約と二国間・多国間協力協定に基づき、中国は月のサンプルやデータ管理方法を発表し、関連国や世界の科学者と共有する。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年3月12日