2020年は、新型コロナウイルス感染症が経済情勢を突如大きく変化させ、中古品のEC取引量が再び小さなピークを迎え、各プラットフォームではショッピングイベント「618」での売上高が再び記録を更新し、卒業シーズンのフリーマーケットがオンラインに移行し、ますます多くの20歳前後の若者が「断捨離」を身につけ、「安いものを楽に手に入れる」ようになった。
百度(バイドゥ)の検索指数をみると、閑魚、転転、愛回収などの中古品プラットフォームへの注目度が急速に上昇し、3月20日前後と6月18日前に2回のピークを迎えたという。
徐々に盛り上がる中古EC、「中古品経済」はモノの循環利用の理念に合致するだけでなく、一種のコミュニティ文化も生み出した。
「中古品経済」が徐々に認知
風は海外から吹いてきた。1960年代から80年代にかけて、日本は急速に戦後からの復興を遂げ、大量の中産階級が出現した。すると家にある不要品が急激に増え、物質の「原始的蓄積」が完了した。90年代以降は、バブル経済が崩壊し、第4消費時代の文化的影響を受けて、日本には新たな消費トレンドが起こり、中古市場が徐々に熱を帯びていった。2018年には、消費者間(C2C)中古品取引プラットフォームのメルカリが東京証券取引所で新株発行(IPO)を行い、初日の株価は約77%大きく値上がりし、時価総額は65億ドル(約6878億円)を超えた。
米国をみると、中国の4分の1に満たない人口が、約30兆円の中古市場を支えている。中古贅沢品を扱うECサイトのザ・リアルリアルは、上場初日に株価が44.5%上昇し、投資家は中古市場への評価を示した。
先進国が歩んだ道が十分に証明するように、経済が中所得国から豊かな国へと向かう中で、必ず中古品市場のニーズが生まれ、大きなチャンスが訪れる。閑魚の陳◆(金へんに雷)最高経営責任者(CEO)は、「人の消費観は変化するもので、多くの人は自分のニーズに基づいて、環境にやさしく、省エネで、循環型の消費をより多く選ぶようになる」と述べた。
「2019年度中国中古EC発展報告」によると、閑魚の中古EC市場でのシェアは70.7%、転転は20.2%で、両社を合わせると90%を超える。残りのシェアは寺庫、多抓魚、毒、蜂鳥などの垂直型プラットフォームが分け合っている。
データをみると、現在のオンライン中古商品売買ルートの主なユーザーは18歳から34歳の若者で、このうち31.0%が独身、男女比は4対6で、若年化とトレンド化の流れが目立つ。
「中古市場の下でのユーザー観察報告」によれば、中国人の中古取引の受け入れ度がこの2年間で目に見えて上昇し、回答者の70%以上が「毎週1-2回は中古取引を行う」と回答し、90%が「今後1年以内に中古品の取引をするだろう」と答え、よく売られるのは携帯電話、衣類・アクセサリー類・靴類・帽子類、本、デジタル製品などだ。
若者の新たな楽しみ方
若者は中古品取引プラットフォームで不要なものを処分するだけでなく、より多くの新しい楽しみ方をみつけている。たとえば高校教員の雁卿鳳さんは「漢文化のディープな愛好家」で、小さいときから伝統衣装の漢服を好み、学校に漢服クラブも作ったほどだ。自分では漢服約100着を所有し、自宅には漢服専用の部屋がある。閑魚では気のあった漢服愛好家に自分の漢服を貸し出し、友達がたくさんできただけでなく、漢服貸し出しで毎月1千元(約1万5千円)以上の収入があり、この収入でまた気に入った漢服をたくさん買えるのだという。
ブランド品鑑定士の閻闖さんは「10秒でブランド品が本物かどうか鑑定する」技能を持っており、閑魚で鑑定サービスを売り出し、閑魚の中古ブランド品取引プラットフォームの「奢侈魚塘」を立ち上げ、「塘民」と呼ばれるユーザー76万を呼び込んだ。毎日、自分の閑魚アカウントでブランド品鑑定のテクニックに関する動画を流し、空いている時間にはフォロワーたちの鑑定相談に無料で答える。閑魚で蓄積したファンを基礎に、各大手プラットフォームに自分の動画チャンネルを開設し、ブランド品分野のネット有名人になった。
「閑魚魚塘」は趣味に関する取引を中心にした同好のコミュニティだ。現在、160万を超えるコミュニティがあり、毎日400万人を超えるユーザーがその中を「ぶらぶら歩いて」楽しみ、連日3万件を超えるスレッドが立てられる。従来型の画像・文書だけでなく、コンテンツの約10%は動画によって発信される。00後(2000年代生まれ)は魚塘のアクティブ度の高いユーザーで全体の10%を占め、毎月平均1千点近くの商品を閲覧する。また90後(1990年代生まれ)のユーザーが52%以上で、うち95後(1995年から1999年生まれ)は31%を超えた。
取引も交流も
網経社電子商取引ビジネス研究センター法律権利部の蒙慧欣アナリストは、「低炭素の環境保護、循環型利用などの観念が浸透するに従って、多くの消費者の実際的ニーズと中古取引プラットフォームが提唱する『価値の再創造』の理念が期せずして一致した。従来型の取引方法に比べて、中古取引プラットフォームの利用者は買い手と売り手という2つの立場を同時にもち、取引対象がより多様化し、取引体験はより社交化したといえる。
今年4月、湖北省武漢市に住む張さんは閑魚プラットフォームで厦門(アモイ)の売り手から子供のおもちゃの電子ピアノを買った。商品を受け取った時、売り手がピアノのほかに、子供向けの本やカバン、おやつなども一緒に送ってきたことに気づいた。添えられたメッセージには、「心からの祝福がみなさまに届くように願います」と書かれ、張さん一家への祝福が述べられていた。この心温まるエピソードを聞いたネットユーザーたちは、それぞれ自分の経験したことを思い出した。「マスクを買い手に送り、健康を願った」、「自分も『がんばって』と書かれたカードを受け取った」など、さまざまなエピソードがある。
前出の陳CEOは、「中古品プラットフォームは取引だけでなく、交流したり気持ちを通わせたりする場所でもある。閑魚はページ上の見せ方、信用ポイント、趣味を同じくする人たちのコミュニティ「趣味魚塘」、ライブ配信などの方法で、プラットフォームのコミュニティ化レベルを向上させ、特にオンラインコミュニティの「魚塘」では、ユーザーの位置情報に基づく地元コミュニティと趣味の分類に基づく趣味のコミュニティがある。データでは、閑魚プラットフォームで取り扱う不要品の約60%は実際に近所に住む人どうし構成された魚塘グループで出品され、グループ内での平均取引時間はグループ外より3分の1速いという。
現在、シェアリングエコノミー(共有経済)が社会経済発展の新たな原動力となり、「中古品経済」はその重要な構成要素となっている。政府機関の予測データによると、2030年には中古市場が全国で32兆元(約486兆円)の節約を生み出し、40年はさらに70兆元(約1062兆円)の節約になるという。「中古品経済」に非常に大きな発展の可能性があることは容易に想像できる。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2020年8月4日