突如発生した新型コロナウイルスによる肺炎は、グローバル貿易と産業チェーン・供給チェーンに打撃を与えつつある。3月30日に行われた主要20ヶ国・地域(G20)貿易・投資担当大臣臨時テレビ会議は共同声明を発表し、先に行われた新型肺炎対策についてG20首脳テレビ会議での共通認識を呼びかけるとともに、感染症対策で取る緊急措置は方向性、妥当性、透明性、一時性を備えていなければならず、関連政策が国際貿易に不必要な障害となることやグローバル産業チェーン・供給チェーンに破壊的な影響を与えることを回避しなければならないと強調した。また各国が手を取り合って新型肺炎が世界経済に与える影響を軽減するよう最大限の努力をし、二次被害が人類のウイルスとの闘いの足を引っぱらないようにすることも、目下の急務だとの見方を示した。
経済グローバル化の時代には、各エコノミーはグローバルな産業の分業・協力の中で運命を共にする。現在、新型肺炎がグローバル産業チェーン・供給チェーンに多くの「閉塞」を誘発しており、グローバル貿易と対外投資は非常に大きな困難に直面している。国連貿易開発会議(UNCTAD)のまとめた報告書によれば、感染症により今年の世界の対外直接投資は最大で40%減少するかもしれないという。これと同時に、各国では防疫物資の需要が急激に増加し、こうした物資の生産と国境を越えた流動を保障することが生命と健康に関わってくる。協調して対応措置を打ち出し、連携しマクロ政策のリスクヘッジの水準を高め、感染症が世界の生産と需要に全面的な打撃を与えるリスクを緩和し、自由、公平、非差別的、透明で、予測可能な、安定した貿易投資環境を実現し、市場開放の目標を堅持することが、各国の行うべき選択になっている。
「通じていれば痛くない、痛ければ通じていない」という言葉がある。重要なタイミングで、貿易の開放と投資の流動を維持し、さらには商品の十分な量と価格の合理性を維持することは、世界経済の復興を進める上で極めて重要だ。世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長が強調するように、「自給自足できる国はない。それがどんなに強大な国であっても、先進的な国であってもだ」。共同の措置を取って、関税を減免し、貿易障壁を取り払い、貿易の円滑化を実現できるかどうかが、国際的役割を考える上での重要な標準となったことを、人々はますます認識するようになった。
グローバル産業チェーン・供給チェーンの重要な一環として、中国は常に開放協力の約束を守り、実際の行動によって各国が手を取り合って感染症に対抗し、協調して感染症の打撃に対処するための重要な支えを提供してきた。中国国内の感染症対策状況が持続的に好転し、経済社会の秩序が急速に回復するのにともない、中国は防疫物資の生産を絶えず拡大し、自国と他国の感染症対策に必要な物資の面での保障を提供し、世界が感染症との闘いに打ち勝つために中国の力で寄与した。たとえば、グローバル市場の重要なサプライヤーとして、中国の医薬品原料産業の業務再開率と主要製品の生産目標達成率はどちらも80%を超えた。中国はわずか2ヶ月間で医療用防護服の日産能力を40倍以上に増やし、赤外線温度センサーの1日あたり引渡し量は1万5千台から約20万台に増えた。3月19日以降には、国内の需要を保障すると同時に、海外に侵襲的人工呼吸器1700台以上を緊急提供し、人工呼吸器の受注量は約2万台に達した……中国の生産力の急速な転換は世界が感染症と闘う力になり、中国経済の内部循環がグローバル産業チェーン・供給チェーンの大循環に力を与える。この現象からわかるのは、グローバル産業チェーン・供給チェーンの開放、安定、安全を確保することが、全人類の健康と幸福を保障する上で重要な意義をもつということだ。
開放協力は世界の経済運営の法則に合致した客観的なニーズであり、感染症の暗い影を追い払う重要な武器でもある。個別の国の一部の人が感染症を利用して「経済の断絶」をはかり、産業チェーンの移転を騒ぎ立て、さらにはグローバル産業チェーン・供給チェーンを分断しようとするが、時代の流れと経済の法則に逆らった妄想は、現実にはならないことを認識すべきだ。中国米国商会がこのほど発表した調査結果によれば、長期的にみて、中国に進出した大多数の米国企業にとって、中国はやはり重点市場だ。中国は世界に認められた製造業大国であり、貿易・医療物資の生産大国であり、輸出大国でもある。中国の感染症対策の成果、防疫物資を提供する行動が証明するように、中国はグローバル産業チェーン・供給チェーンにおいて欠かすことのできない重要な力だ。
感染症に直面して、人類は心を一つにし、運命を共にしなければならない。グローバル産業チェーン・供給チェーンの開放、安定、安全を確保することが、人類の生命線を保障することにほかならない。世界各国は手を取り合い、それぞれの能力を最大限発揮し、それぞれの長所を活かし、生命を保障し、発展に力をもたらすべきだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年4月1日